ウルム 【Ulm】
ウルムはドイツ南部のドナウ川のほとりにある小さな河畔都市。
街の中心部は大きくないので、観光するのには1日あれば十分に見て回れます。
そして、ウルムで絶対に見ておきたいスポットといえば、
これ以外の見どころも含め、楽しみ方についてもお伝えしていきます。
ウルム大聖堂【Münster Ulm】
ウルムで最も有名な建物と言えば、教会建築として世界で一番高い「ウルム大聖堂」
その高さは、161.53m!
後期ゴシック様式で建てられた大聖堂は、1377年に建築が始まりましたが、資金不足や政治的な影響もあり、途中200年以上の休止期間を経て、最終的に1890年に完成したのです。
第二次世界大戦中の空爆では、ウルムの街に大きな被害を受けましたが、教会は奇跡的に無事でした。
この教会はプロテスタントの宗派なので、カトリックのように内装は派手ではありません。
しかし、彫像やステンドグラスなど、興味深い物をたくさん見ることができます。
教会の奥へ行くと、1474年に作られた素晴らしいフォントが置かれてあります。
フォントのちょうど反対側の柱には、バッハの彫像も!
教会のステンドグラスは、古くから残されたものが多くあります。
しかし、教会南側のステンドグラスは戦争の影響で破損してしまい、1948〜2018年にかけて新しく制作されました。
その中には、アインシュタインをテーマにデザインした作品もありました。
このステンドグラスは、教会に入ってすぐ右側 (南側) に位置しています。
教会の入り口付近には「スズメ」の彫刻が飾られてあります。
この彫刻は、もともと教会の屋根上にあったそうです。
パイプオルガンの演奏を楽しむ
ウルム大聖堂には、全部で5つのオルガンがありますが、その中でも注目したいのが、約8900本のパイプで構成されているメインオルガン (Hauptorgel)!
グレートオルガンとも呼ばれています。
5月から9月にかけて、オルガンコンサートが開催されているので、興味のある方は是非聴いてみましょう!
教会への入場は通常無料ですが、コンサート開催の時間は有料となります。
この時期以外でもコンサートは定期的に行われていて、イベントの情報はウエブサイトのカレンダーから見つけられます。
※ウエブサイトはドイツ語だけなので、グーグルの翻訳機能を使えば大まかに分かると思います。
必見スポット!世界一高い教会の塔からの眺め
この教会を訪れたのでしたら、ぜひ体験しておきたいのが、世界一高い尖塔に上ってみることでしょう!
展望台の位置を高層ビルに例えると、40階くらいでしょうか!
リフトなどは無いので、自力で階段を上って行くしか方法はありません。個人差はありますが、上り切るのに約30分はかかるでしょう。
階段は一気に最上部まで上がるのではなく、途中70m (392段)と、102m (560段) の部分で区切られていて、それぞれの場所からも展望できるようになっています。
そして、最上部では360度のパノラマ展望が楽しめます。
ドナウ川沿いのフィッシャーフィアテル (漁師の地区) も、上からよく眺められます。
最上部の展望台の通路はかなり狭いので、すれ違う際にはちょっと苦労します...
尖塔へ上るには、入場料が必要です!
チケットは教会入り口の窓口か、自動券売機でも購入できます。
ウルム大聖堂の営業時間
🔵教会オープン時間
🔵尖塔のオープン時間
ウルムのスズメ
ここでちょっと「スズメ」について、お話ししておきましょう!
ウルムの街には至るところに、スズメのオブジェが見かけられます。
なぜ「スズメ」...?
というと、このような言い伝えがあります。
『その昔、大聖堂を建設している労働者が、長い木材を運ぶのに都市の門を通り抜けることができず、その門を解体する準備をしていました。
しかし、その直後に藁(ワラ)をくわえてきたスズメが飛んできて、巣にはめ込もうとしたのですが何度も失敗しました。すると、スズメは加えていた藁を横向きから縦向きに変えてに、巣にはめ込むことができたのです。
それを見た労働者は、同じように木材を回転させて門を通り抜けました!』
...という冗談のような話がありました
このことで、スズメがウルムのマスコットになったそうです。
そのような事から、観光する際に街中でスズメのオブジェを探してみるのも、面白いかと思います!
ミュンスター広場【Münsterplatz】
ウルム大聖堂の前に広がる、街の中心部「ミュンスター (大聖堂) 広場」
毎週、水曜日と土曜日には、広場いっぱいに屋外マーケットが開催されます。
たくさんの花や植物に加えて、新鮮なフルーツ、野菜、ソーセージなど、いろんな食材が屋台に並んでいます。
そして、忘れてならないのがドイツのハチミツ!
ドイツはハチミツの消費量が世界一とも言われています。
それだけに見た事のないような、いろんな種類のハチミツがあります。
これなら、お土産に持ち帰ってもいいですね!
大聖堂の右側には街の模型が置かれてあり、これを見るとウルム中心部の様子がよく分かります!
ウルム市庁舎【Ulmer Rathaus】
ウルムで歴史のある建造物の一つ、1370年に建築された市庁舎。
元々は百貨店として建てられましたが、1419年以降になると市庁舎として使用されてきました。
こちらの市庁舎も、1944年12月の空爆で被害を受けてしまいましたが戦後に復元され、今でも昔ながらの美しい姿を見ることができます。
市庁舎の壁全体に描かれた美しい壁画と、天文時計には注目!
修復されたものですが、壁画は1540年に描かれ、天文時計は1520年に製作されました。
建物の一部は、博物館になっていて見学することができます。
🔵営業時間
ウルムの城壁【Stadtmauer】
中世の城塞都市を思い起こすことのできる「ウルムの城壁」
ドナウ川のほとりにある城壁は、ウルムの都市を防御する目的で、1480年に建設されました。
レンガ造りの壁の上は遊歩道になっているので、公園やドナウ川を眺めながら散歩が楽しめるスポットです!
壁の所々には階段があるので、途中から上り下りすることが可能です。
城壁の一部は、川沿いだけでなく街の中にも残されてあります。
メツガートゥルム【Metzgerturm】
ウルムの城壁沿いには、1340年に建築された城塞都市の塔があり、その高さは36m。
メツガートゥルムとは「肉屋の塔」という意味で、当時は食肉の処理に使われていたそうです。
18〜19世紀には、牢獄としても使われていました。
この画像からは分かりづらいですが、塔は都市の中心部に向かって3.3度も傾いてうるのです!
穴場スポット!バラ園【Rosengarten】
ドナウ川のほとりの城壁には、小さなバラの庭園があります。
庭園の中には、ベンチシートがいくつか設置されてあるので、座ってバラを眺めながら休息をとるのもいいですね!
ゲンストゥルム【Gänsturm】
ウルムの城壁からバラ園を過ぎて、さらに東の方へ進んでいくと、ゲンストゥルム (ガチョウの塔) があります。
こちらは、1360年に建築された塔で、高さは37.5m。
塔の時計は、2002年に設置されたものです。
フィッシャーフィアテル
【Fischerviertel】
フィッシャーフィアテルとは「漁師の地区」という意味で、ドナウ川に近いことから、中世の頃には漁業や造船など、職人達の産業の場となっていました。
ウルム旧市街地の中心部であったこの地区には、昔の面影を残す木造家屋や、石橋などが見られることから、観光で一推しの場所。
必見!シーフェスハウス【schiefes Haus】
ウルムで必見スポットのひとつ!
傾いた木造家屋「シーフェスハウス」
ドイツ語で「傾いた家」という意味で、その名の通り建物が傾いています!
この家は、1443年に後期ゴシックスタイルで建てられました。
1997年に『世界で最も傾いた (曲がった) ホテル』として、ギネスブックに登録されています。
横から見ると、左側に向かって曲がっているのが分かりますね!
この家を建てた時、現在の道路側の地盤は固くしっかりしていたのですが、反対側の地盤は柔らかく、年月が経つにつれて建物が徐々に傾いたそうです。
この位置から見ると、傾きがよく分かりますね!
見た目はちょっと心配ですが、補強工事も終え基盤はしっかりとしていて、窓も水平になっています。
現在はホテルとして使用されています。
シュマレスハウス【Schmales haus】
「傾いた家」の近くにある、17世紀に建てられ細長い建物「シュマレスハウス」
この木造家屋の大きさは、幅が 4.63m、長さは 16mしかありません!
シュマレスハウスもホテルになっていて、私がウルムに滞在した際に利用しました。
シュマレスハウスの朝食ルームは3階にあるので、素敵な眺めが楽しめるスポットしてもオススメ!
窓からは小川沿いに立ち並ぶ家屋や、ウルム大聖堂の尖塔も見られます!
朝食はビュッフェ式で、パン、チーズ、ハム、野菜、ヨーグルト、ジュース、コーヒー、紅茶などが用意されています。
ホテルの中にも、可愛らしいスズメがたくさん飾られてありました。
17世紀に建てられた古い家屋ですが、2000年代になってリノベーションされ、客室はモダンな造りになっています。
私は、このホテルを格安サイト「Booking.com」で予約したので、朝食も含めて約€70ユーロ (2人部屋をシングル) で利用できました。
※ホテルの料金は、時期によって変動します。
シューンネスハウス【Schönes haus】
シュマレスハウスのちょうど反対側には、「美しい家」(シューンネスハウ) という名の付いた建物があります。
この建物でぜひ見ておきたいのが、外壁に描かれたベオグラードの都市!
壁画の下には、ウルム伝統の長細いボート「geschoppt」が置かれてあります。
シュヴェルハウス【schwörhaus】
こちらは、17世紀の初めに建てられた「シュヴェルハウス」で、長年に渡りワイン市場の貿易における、重要な役割を果たしていました。
ワインを保管していたことから「ワインホフ (Wienhof)」とも呼ばれていたそうです。
建物は、過去に火災や戦争の空爆による被害を受け、何度か再建や拡張されてきました。
現在は、ウルムの歴史博物館として見学できるようになっています。
🔵営業時間
アインシュタインの噴水
【Einstein Brunnen】
ウルム出身で世界的に有名な人物といえば、理論物理学者の『アルベルト・アインシュタイン』
Albert Einstein (1879年3月14日〜1955年4月18日)
1984年に作られた青銅の噴水は、ロケットの噴射をイメージしています。
ロケット上のカタツムリから突き出ているアインシュタインの顔は、舌を出した有名なポーズですね!
この場所は、ゲンストゥルムからほど近い、地方裁判所 (Amtsgerichts Ulm) の前にあります。
街中のいろんな噴水
ウルムの街には、噴水が至るところにあります。
先にお伝えしたアインシュタインの噴水以外には、大聖堂前のムンスター広場、ウルム市庁舎、シュヴェルハウス前の広場、ゲンストゥルム、警察署の中にもあるのです!
街を散策しながら、いろんな噴水を見つけるのも興味深いですね。
北側の地区も見どころ!
大聖堂を正面に見て左側の地区 (北側) には、フィッシャーフィアテルとは異なった街並みが見られます。
この地区には、たくさんのカフェやレストランがあるので、食事をする場所に選んでもいいですね!
更に奥の方へ進むと、1904年にカトリック信者のために建てられた「聖ゲオーク教会 (St. Georg Ulm)」があります。
教会の塔の高さは、68m。
ウルム大聖堂と比べると小さな教会に見えてしまいます。しかし、内部はカトリック教会の特徴でもある、鮮やかな装飾が施されています。
絶対に見ておきたい!ヴィブリンゲン修道院【Kloster Wiblingen】
ウルムには『南ドイツで一番美しい図書館』と言われているヴィブリンゲン修道院が、街の中心部から約5キロ離れたところにあります。
この図書館は、18世紀にロココ様式で建築され、天井には素晴らしいフレスコ画と、部屋全体に素晴らしい装飾が施されてあります。
ウルムに訪れるのでしたら、必見スポットの一つです!
修道院には大聖堂もあり、天井に大きく描かれた美しいフレスコ画には注目です!
こちらの場所へは、市内中心部からバスで約15分。
ヴィブリンゲン修道院については、こちらの記事で詳しくお伝えしています。
ウルム観光案内所
ウルムの観光内所はミュンスター広場に面した、白い建物「シュタットハウス (Stadthaus Ulm)」の中に設置されています。
この街を訪れた際には、ぜひ立ち寄ってみるといいですよ!
地図の記載されたパンフレットが得られるのと、小さなお土産なども販売しています。
受付で尋ねると、日本語のパンフレットも手に入ります。
🔵営業時間
記事内で紹介したスポット
ウルムへのアクセス
最寄り駅:Ulm Hbf (ウルム中央駅)
ドイツ鉄道 (DB) のネットワークが、ウルムの中心部へアクセスしています。
ちなみにオランダ・アムステルダムからですと、早いもので約6時間半で行くことができます。
最後に
ウルムで是非とも見ておきたい、興味深い観光スポットについてお伝えしてきました。
この都市の中心部は小さいですが、散歩でも十分に移動できる範囲です!
(ヴィブリンゲン修道院へ行く場合は、バスでの移動をオススメします。)
ウルムを訪れる際には、ぜひ参考にしてみて下さい。