オランダには「世界で最も美しい書店」に選ばれた、教会を改修した本屋がマーストリヒトの街にあります。
そしてもう一軒、同じように教会を再利用した、これもまた美しい書店がズウォレという街にもあるのです。
どちらの書店もかつての教会を利用しているので、それぞれの建物には歴史的にも貴重な絵が天井などに残されており、大変興味深いものがあります。
この記事では、これら2つの教会を再利用した、美しい書店についてお伝えしていきます。
※2022年12月25日 更新
マーストリヒト【ブックハンデル・ドミニカネン】
オランダ最南部に位置している、マーストリヒト (Maastricht) の街にある「ブックハンデル・ドミニカネン」
Boekhandel Dominicanen
この本屋が有名になったきっかけは、2008年にイギリスの大手新聞のガーディアン (The Guardian) が「世界で最も美しい書店」の10店舗を発表して、その中に選ばれたのです。
その後、他の海外メディア (BBC、CNN、Lonely Planet) もこの本屋を取り上げ注目されました。
「ドミニカネン」とは、1294年に創設したゴシック様式の修道院教会でしたが、1796年に教会としての機能を終えると、その後は馬小屋、自転車置き場、展示会場などに利用されてきたのです。
そして、この建物を本屋として利用する案が持ち上がり、2005年からこの建物を改修して、2006年12月から書店としてオープンしました。
2013年まではオランダの書店「Selexyz 」や「Polare」のチェーン店でしたが、親会社が経営不振になってしまいました。
しかし、閉店することなく2014年3月からは独自に経営を始め、名前も「ブックハンデル・ドミニカネン (Boekhandel Dominicanen)」として今日に至ってます。
観光のガイドブックやインターネットで、この本屋の情報を得て見学に来る人もいますが、何も知らずに訪れる人にとっては特に目立った表示などが無いので、その外見から教会だと思ってしまうでしょうね!
オランダ最古の街「マーストリヒト」には歴史的に貴重な建造物がたくさんありますが、この建物の天井に描かれているフレスコ画も、マーストリヒトの貴重な宝庫の一つとなっています。
※フレスコ画とは西洋絵画の技法の一つで、砂と石灰を混ぜて作られた下地に、水で溶いた顔料を使って絵を描く方法。
🇳🇱マーストリヒトといえば、世界で最も美しい書店に選ばれた「ドミニカネン」
— アルト・オランダ (@Artoshack) August 22, 2020
店内をぐるっと🎥https://t.co/4ErXmBUuKq pic.twitter.com/AtObAiRpuo
この店舗では新品の本に加えて、中古の本の販売と買い取りも行うようになりましたが、地元の人にしか有効に利用できないかと思います...
2018年から音楽CDやDVDのコーナーも新たに設けられ、本だけに限らず音楽の好きな人の場所にもなっています。
書店内中央部の地下一階には、無料で利用できるトイレがあります。
オランダで公共のトイレは見つけづらいので、ここで利用しておくのが都合いいかと思います!
店内のカフェ【コーヒーラバーズ】
Coffeelovers
店内の一角には「コーヒーラバーズ」というカフェが設けられてあります。
コーヒーや紅茶などに加えて、ケーキやサンドイッチなども用意してあるので、休憩や軽食をとる場所として利用できます。
また、書店で購入した書物を休憩を兼ねて早速朗読するのにも、適した場所ではないでしょうか!
書店へのアクセスと詳細
◾️最寄り駅
マーストリヒト (Maastricht)
マーストリヒトへは、鉄道でアムステルダムから直通のインターシティ (Intercity) を利用して約2時間半。
直通列車は、1時間に2本運転しています。
マーストリヒト駅から旧市街地の中心部へ向かって徒歩で約15分。
この場所は建物が立て込んでいて、初めて訪れる人にとっては見つけづらいと思います。
書店入り口の正反対側、約50mの所にマクドナルドがありますので、それを目印に見つけることができるでしょう!
◾️営業時間
月曜日、10:00~18:00
火・水・金・土曜日、9:00~18:00
木曜日、9:00~21:00
日曜日、12:00~18:00
◾️住所
Dominicanerkerkstraat 1, 6211 CP Maastricht
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ズウォレ【ファン・デル・フェルデン・イン・デ・ブルーレン】
Van der Velden in de Broeren
*以前の名前は「Waanders in de Broeren」
オランダの北東部に位置するオーファーアイゼル州の州都市「ズウォレ」(Zwolle)
この街の中心部にもマーストリヒトと同様に、教会を再利用した美しい書店「ファン・デル・フェルデン・イン・デ・ブルーレン」があります。
1465年に創設した「ブルーレン教会 (Broerenkerk) 」を改修して、2013年7月13日に本屋としてオープンしました。
マーストリヒトのドミニカネン書店から、7年後の開業ですね。
こちらも修道院教会でしたが1580年に閉鎖し、その後1640年からはプロテスタントの礼拝の場として教会が運営されてきました。
しかし、1983年に教会は閉鎖することになり、1983年〜1988年にかけて修復作業が行われ、その際にヴォールトの天井全体に描かれた絵が現れたのです!
その後、1988年〜2010年には文化的なイベント会場として利用されてきました。
建物の外見は教会と変わりないですが、中に入るとその空間の広さと美しさには驚きです!
マーストリヒトのドミニカネン書店と比べると、内装全体が白くとても明るく感じられます。
3階へ上がると天井に描かれたフレスコ画もよく見え、大きな窓から日が差し込むと白い内壁がより一層明るくなります。
最上階は、イベントなどが行われるときに使用される場所となっています。
建物の入り口には「Van der Velde」の名前が分かりやすく表示されているので、見逃すことはないでしょう!
パイプオルガン
ここにはマーストリヒトのドミニカネン書店には無い、パイプオルガンが設置されています。
Scheuer-orgel
このパイプオルガンは1824年にオルガン製造者「J.C. Scheuer」によって建設され、教会が書店として改修する際にもそのまま残されています。
オルガンの設置されている場所に入ることはできませんが、2階や3階からこの美しいパイプオルガンを近くで見ることは可能です。
オルガンは、フレントロップ社 (Flentrop) によりメンテナンス作業も行われ、とても綺麗な状態になっており、イベントのある時には実際に演奏も行われています。
世界でも珍しい、本屋さんにあるパイプオルガンでのクリスマスコンサート🎄🎅🎁✨
— アルト・オランダ (@Artoshack) December 22, 2022
やはり最後はこの曲ですね‼️
👏👏👏👏👏
(名前が変わりました)
Van der Velde Boeken Zwolle🇳🇱https://t.co/5GElr8QFNB pic.twitter.com/s3W9XuWleI
本屋で生のパイプオルガンの演奏が聴けるとは、とても贅沢な限りです!
この書店ではオルガンの演奏以外にも、様々なイベントが行われており、その情報はホームページの Agenda から見つることができます。(オランダ語表記のみ)
店内に保存されている墓石
一般的に教会の床には、このような墓石がたくさん敷き詰められてあります。
このブルーレン教会の床にあった墓石の一部が壁に飾られてあり、その暮石の前にある床の下には遺骨が置かれています。
(おそらく、複製だと思いますが...)
最初は、ガラス張りの床の中に何かあるように見えましたが、暗くてよく分かりませんでした。
墓石前に置かれているテーブルに大きなボタンがあるので、それを押すと照明がつき中の様子を観ることができます!
書店内のカフェ
こちらの書店にも、建物の一角にカフェが設けられてあります。
マーストリヒトにあるドミニカネン書店のカフェよりは、スペースも座席数も十分にあり、ゆったりとくつろぐことができます。
デザートもいくつかありますが、オランダ定番のアップルタールト (アップルパイ) はオススメの一品!
サンドイッチやサラダ、スープなどもあるので昼食をとるにも最適な場所のひとつ。
この書店にも無料で利用できるトイレが、カフェ側に設けられています!
カフェのある場所には、ノルウェーの芸術家「Kjell Nupen」によって作られたステンドグラスがあるのでお見逃しなく!
書店へのアクセスと詳細
◾️最寄り駅
ズウォレ (Zwolle)
アムステルダムから直通の各駅停車 (Sprinter) で約1時間半。
インターシティ (Intercity) を利用すれば、一度乗り換えが必要となりますが、約1時間ちょっとで行くことができます。
その場合の乗り換え駅は、アルメール・セントラム (Almere Centrum)。
ズウォレ駅から書店までは、徒歩で約15〜16分。
建物の入り口付近には「Van der Velden」と記された大きな旗が立っているので、見つけやすいでしょう。
◾️営業時間
月曜日、12:00~18:00
火・水・金・土曜日、9:30~18:00
木曜日、9:30~21:00
日曜日、12:00~17:00
◾️住所
Achter de Broeren 1-3, 8011 VA Zwolle
🌐www.vanderveldeindebroeren.nl
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最後に
教会を再利用した2つの美しい書店についてお伝えしてきました。
マーストリヒトのドミニカネン書店は、メディアで取り上げられて既に有名になっていますが、ズウォレのワーンダース・イン・デ・ブルーレンは、まだあまり知れ渡っていない感じに思えます。
どちらの店舗も、オランダの国定記念碑に登録されている歴史的に重要な建造物ですが、教会としての機能を終えた建物の、とても有効的な再利用の例ですね!
それぞれの街を訪れる機会があるようでしたら、一度足を運んでみてはどうでしょうか。
これらの美しい書店は、一見の価値があると思います!