オランダのほぼ中央部に位置する、森林に覆われた丘陵地帯のあるフェルウェ (Veluwe)。
その森林地帯の一部や草原の中を蒸気機関車が走り抜け、ノスタルジックな汽車の旅が体験できます。
しかも、この路線ではドイツ製の大型蒸気機関車が牽引するので迫力満点!
あまり知られていないこの汽車の路線と、乗り方についても詳しくお伝えしていきます。
フェルウェ森林地帯を走る蒸気機関車
VSM : Veluwsche Stoomtrein Maatschappij
フェルウェ (Veluwe) を走る汽車は、ミュージアム路線として運営しており、日常の交通手段ではなく特別なアトラクションとして、またノスタルジックな雰囲気が体験できるのです。
【この路線は、略して VSM と呼んでます。】
100年以上もの歴史のある鉄道路線では、ドイツ製の大型蒸気機関車が牽引。
その他にも、オランダのディーゼル機関車や客車など、たくさんのコレクションを保有。
運行の当日は、どの蒸気機関車が走るのか分からないので、ある意味ではその日のお楽しみです!
汽車の出発起点となるのは、車両基地のある「Beekbergen」(ベークベルゲン) というミュージアム駅。
運行ルートは次のようになっています。
Beekbergen → Apeldoorn (折り返し) → Eerbeek (折り返し) → Beekbergen (55分間停車) → Apeldoorn (折り返し) → Beekbergen
アペルドールン駅から出発
Apeldoorn
公共交通機関を利用して行く場合には、アペルドールン駅 (Apeldoorn) に行き、そこから乗車するのが最適。
オランダ鉄道がアクセスするアペルドールン駅には、汽車専用のプラットホームがあります。(バスターミナルの反対側の出口)
汽車が到着すると、スタッフがプラットホームにある専用の出入り口の門を開け、チケットを確認します。
もし、チケットをオンラインで申し込んでなけれは、その場で購入できますがカード決済のみ。
こちらが切符で、親指くらいの厚紙。オンラインでチケットを申し込んでもこの切符が渡され、往路と帰路にスタッフが検札に来ます。
この切符をもらったら、さっそく汽車に乗車。
全て自由席なので好きなところに座れます。
汽車の編成
汽車は主に、このようなデッキ付きの短い車両での編成。
この客車は1910年代のオーストリア製。
元々は貨車でしたが、1950年代になると旅客用の車両が不足したことで、貨車を改造しました。
車内の作りは、車両ごとに多少に違いますが、主に4人用の向かい合わせの座席。
編成の中央部には、俗に言う食堂車も連結。
実際には売店だけなので、飲み物やスナックなどの軽いお菓子を買うことができます。
その食堂車の座席にはテーブルがあり、木製の作りが良い味わいを出してます。
この車両に座って、コーヒーや紅茶でも飲みながら、汽車の旅を満喫するのも楽しみのひとつ。
汽車に乗って出発!
ここからは汽車に乗った様子と、車両基地についてお伝えしていきます。
まずはじめに、こちらはインスタグラムに投稿した短い動画ですので、参考にどうぞ!
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アペルドールン駅を出発すると、汽車はゆっくりと走ります。
大型蒸気機関車が牽引するのですが、この路線ではあまりスピードを上げて走行しません。
デッキのある車両では外に出ることもできますが、石炭の灰が降ってくる事を承知の上で!
🇳🇱🚂蒸気機関車の真後ろから👀
ポーッ‼️🙉 https://t.co/0h7zLFKs9P pic.twitter.com/89L3l2JoLh— アルト・オランダ (@Artoshack) April 28, 2024
蒸気機関車の真後ろの車両 (デッキ) にいると、なんともすごい迫力!
汽笛が鳴ると爆音なので、くれぐれも注意を‼️
客車の連結部の通路は、こんな感じ。
走行中に歩いても大丈夫。ちゃんと柵はあります。
フェルウェの森林地帯を走り抜ける
🇳🇱オランダの車窓から🚂
ポッポー‼️ pic.twitter.com/DBZdIh6B9p— アルト・オランダ (@Artoshack) July 30, 2023
汽車はアペルドールンから来て、ベークベルゲンを出発してしばらくすると、フェルウェの森林地帯を走り抜けます。
フェルウェとは言ってもオランダの国定公園内は通らずに、一部の森林地帯を走行。
9月〜10月になれば、紅葉も見られますよ🍁
エールベーク駅で折り返し
Eerbeek
ミュージアム路線の折り返しとなるエールベーク駅 (Eerbeek) は、1887年に開業したという歴史があります。
ここで汽車は25分ほど停車し、蒸気機関車は方向転換のために移動し、連結作業を行います。
もちろん、駅に降りることもできるので、その様子を間近で見ることもできますよ。
連結作業を終えると、汽車は車両基地のあるベークベルゲン駅に向けて出発。
汽車は自由席なので、席を変えて別のところに座ることもできます。
車両基地のあるベークベルゲン駅
Beekbergen
この鉄道路線の拠点ともなるベークベルゲン駅 (Beekbergen) には車両基地があり、たくさんの機関車や客車を保存。
エールベーク駅 (Eerbeek)を出発してからは、再びこの駅に戻ってきます。
こちらが駅のホームで、ここから乗り降りします。
ホームには花も飾られてます。ベンチシートに座ってくつろぐ事も!
プラットホームにある小さな駅舎の中は、当時の様子を再現。
ホームの反対側にある建物には、チケット売り場とカフェ、そしてトイレもちゃんと設備。
建物の裏側にはテラス席もあるので、コーヒーやケーキ、ソーセージパンなどの軽食を食べながら休憩も!
汽車に乗らなくても車でドライブついでに来たり、サイクリングの途中で寄る人たちも見かけます。
ちなみに、汽車に乗る場合のみチケットが必要で、敷地内の見学やカフェの利用は無料。
こちらは、オランダ定番のアップルパイとコーヒー😋
2024年の価格では、5.5ユーロ。
汽車の移動行程では、帰路において約1時間ほど停車するので、この間に車両基地をじっくりと見学ができます!
蒸気機関車は折り返し運転。
移動して水の補給をします。🇳🇱Beekbergen pic.twitter.com/JVTvRjw1Qy
— アルト・オランダ (@Artoshack) July 30, 2023
牽引してきた蒸気機関車は客車から離れ、車両基地内を移動して水や石炭の補給を行います。
Beekbergen の車両基地 🚂
今日はターンテーブルがちゃんと動いてました。
4月に来た時は故障... pic.twitter.com/VpezlDg8GL
— アルト・オランダ (@Artoshack) July 30, 2023
時によってはターンテーブルに機関車を乗せ、回転するところを見れるかもしれません!
車両基地にはドイツ製の蒸気機関車が、たくさん集結。
足回りが赤いのが、ドイツ製機関車の特徴。
他にも、オランダ鉄道のディーゼル機関車も何両かあります。
これらのディーゼル機関車も、特別な日に走行してるようです。
車庫は作業場になっていて、機関車のメンテナンスが行われます。
車庫からデカイのが出てきた‼️
🚂...👀 pic.twitter.com/eU3mfUaL1o— アルト・オランダ (@Artoshack) April 28, 2024
車両基地内は、わりと自由に歩けます。
もちろん機関車が移動する際には、スタッフが注意を促しますが、それでも移動してるところを近くで見れるので、貴重な体験になるかもしれません。
※お子さん連れの方は十分に気をつけてください。
敷地内にある一部の機関車には、運転台に入って見ることも可能。
機関室とはいっても稼働してない機関車なので、火は入ってません。
蒸気機関車は巨大なボイラーなので、メーターやハンドルなどがたくさん!
だんだん来るよ🚂...👀
蒸気の音が...🙉 pic.twitter.com/ZiRguIDiDR— アルト・オランダ (@Artoshack) April 28, 2024
出発時間近くになると、蒸気機関車は再び客車と連結。近くにいると、こんな光景も見られます。
そして、汽車は再びアペルドールン駅に向けて出発。くれぐれも、乗り遅れないように!
ちなみに、この駅から乗り始めたのでしたら、アペルドールン駅で折り返して再び戻ってきます。
詳細事項
チケットについて
チケットはオンライン、もしくはアペルドールン駅の汽車専用プラットホームでスタッフから直接購入。ただし、カード決済 (非接触式) のみ。
ベークベルゲンでは、車両基地内にある駅舎にチケット売り場があります。
- 1日乗車券 (2024年の料金)
- 12歳以上:19.5 ユーロ
- 4〜11歳:10 ユーロ
- 3歳以下:無料
- ミュージアムカードには対応していません
定員になることもしばしばあり得るので、予定が分かってる場合は事前にオンラインで購入しておく事が無難。
※1ヶ月前にならないとチケット購入の案内は表示されません。
オンラインで申し込むと、EメールにQRコードが記載されたチケットが送信されてくるので、それをスタッフに見せると、QRコードをスキャンして小さな厚紙の切符が渡されます。
運行日
- 4月〜10月の毎週月曜日
- 7中旬〜8月末までは土曜日を除く毎日
詳しいスケジュールはこちらから。
🌐stoomtrein.org/en/dienstregeling
通常の運行スケジュールではアペルドールン駅を通りますが、”Dieren”という駅にアクセスする日程も組み込まれてます。
たまにの運行ですが、特別な客車に乗ってパンケーキなどのランチが楽しめる日もあります。
運行時間
主な運行時間は、このようになっています。
- 10:55 Beekbergen 出発
- 11:20 Apeldoorn 到着【25分間停車・折り返し】
- 11:45 Apeldoorn 出発【オランダ鉄道で来る場合は、この時間に乗車】
- 12:15 Beekbergen 出発
- 12:40 Eerbeek 到着【25分間停車・折り返し】
- 13:05 Eerbeek 出発
- 13:30 Beekbergen 到着【55分間停車・ここで車両基地を見学】
- 14:25 Beekbergen 出発
- 14:50 Apeldoorn 到着【オランダ鉄道で来た場合は、ここで降車】
- 15:05 Apeldoorn 出発
- 15:30 Beekbergen 到着
夏休み期間の平日の運行は異なりますので、詳しい時間はウエブサイトを参照してください。
🌐stoomtrein.org/dienstregeling/
汽車乗り場へのアクセス方法
出発地点は車両基地のあるベークベルゲン駅 (Beekbergen) ですが、公共交通機関でのアクセスが良くない場所なので、結論から言うとオランダ鉄道のアペルドールン駅に行く事がオススメ。
◼️オランダ鉄道で行く場合
目的地の駅:Apeldoorn (アペルドールン)
駅のバスターミナルとは反対側の出口に、汽車専用のプラットホームがあります。
◼️車で行く場合
Apeldoorn にも駐車場 (有料) はありますが、せっかくなら車両基地のある Beekbergen に行く方が良いでしょう。
汽車に乗らなくても、車両基地だけを見学することも可能。
Beekbergen駅のすぐ裏側に、専用駐車場があります。(無料)
おわりに
戦後の時代に活躍していた蒸気機関車を数多く保有して、乗客を乗せて走らせてるオランダのミュージアム路線のひとつ。
今現在の日常生活では体験することのできない、ノスタルジックな汽車の旅が味わえます。
そんな生きた鉄道博物館に、足を運んでみるのも面白いかと思いますよ‼️