![蒸気機関車と風車](https://artoexplore.net/wp-content/uploads/2019/05/bello_windmill-1024x767.jpg)
オランダでレトロな蒸気機関車が走っているのを知ってますか?
春から秋にかけて『走る博物館』とも言われる、100年以上前の小さな蒸気機関車で、オランダのホールンからメデムブリックまでの20キロの区間を、ゆっくりと走る汽車の旅が体験できるのです。
この記事ではレトロな汽車の旅と、そのチケットの買い方、乗り場へのアクセスの方法についても詳しくお伝えします。
※2024年1月2日 更新
オランダの小さな蒸気機関車でレトロな旅
![オランダで走る蒸気機関車](https://artoexplore.net/wp-content/uploads/2019/05/steamtrain-hoorn-medemblik.jpg)
Museum Stoomtram Hoorn-Medemblik
『ホールン~メデムブリックの蒸気トラム・ミュージアム』
1887年に、ホールン (Hoorn) からメデムブリック (Medemblik) まで鉄道が開通して、蒸気機関車が走り始めました。
今日、ふたたびその区間を100年以上前の蒸気機関車が率いる客車に乗って、タイムスリップしたかのような体験ができるのです。
そして、オランダの美しい風景を楽しむことができ、春には色彩豊かなチューリップ畑を眺められるのが注目!
【運行期間】4月 〜10月頃
詳しくは、こちらのスケジュール表から。
汽車は時速30キロほどでゆっくりと走行するので、のどかな景色をじっくりと眺めることができます。
※博物館では「蒸気トラム」と表現していますが、この記事では「蒸気機関車」としてお伝えしていきます。
こちらの映像は、2022年4月下旬の様子です。
ほとんどのチューリップ畑では開花していて見頃でした。
蒸気機関車の走るルート
![オランダの田園地を走る汽車](https://artoexplore.net/wp-content/uploads/2019/05/running_stoomtram-1-1024x767.jpg)
蒸気機関車の走るルートは、アムステルダムからみて北部に位置したホールンという街から出発し、メデムブリックまで20キロの区間を、途中停車も含めて1時間20分かけて走ります。
『Historische Driehoek』
「走る博物館」の起点となる3つの街、ホールン、メデムブリック、エンクハウゼンは、歴史的な三角地帯と言われ、中世の黄金時代にはオランダの東インド会社「VOC (Verenigde Oost-Indische Compagnie)」が拠点を置く、歴史的に重要な場所でした。
![田園地の風景](https://artoexplore.net/wp-content/uploads/2019/05/tulipfield_cow-1024x767.jpg)
汽車はホールン駅を出発すると街の中を走り、しばらくすると広大な田園地へと入っていきます。
その中でも、春の時期にはチューリップ畑が見どころ!
![車窓からチューリップ畑の眺め](https://artoexplore.net/wp-content/uploads/2019/05/windowview_tulipfield-1024x767.jpg)
この路線周辺にはたくさんのチューリップ畑があるので、特に4月中旬以降になると色鮮やかな絶景が見られます。
![車窓からの眺め](https://artoexplore.net/wp-content/uploads/2019/05/scenery_trainwindow-1024x768.jpg)
客車の車窓からは、こんな感じです。
![客車から眺めるチューリップ畑](https://artoexplore.net/wp-content/uploads/2019/05/view_tulipfield-1024x768.jpg)
客車の連結部分のデッキからの眺め!
![汽車の乗務員の案内](https://artoexplore.net/wp-content/uploads/2019/05/conductor-1024x768.jpg)
車内ではスタッフがオランダ語と英語で、乗車中の安全等の説明が行われます。
ホールン駅を出発して25分くらい経つと、ウォグナム駅 (Wognum) に停車。
![ウォグナム駅](https://artoexplore.net/wp-content/uploads/2019/05/wognum_station-1024x768.jpg)
Wognum駅
この駅には15分間止まっているので、休憩も兼ねて駅の敷地内を自由行動。ただし、線路内には入らないように!
![走るミュージアムの蒸気機関車](https://artoexplore.net/wp-content/uploads/2019/05/stoomtram_museum-1024x768.jpg)
蒸気機関車は一番人気ですね!多くの人が詰めかけ記念写真を撮っています。
![カラフルなチューリップと汽車](https://artoexplore.net/wp-content/uploads/2019/05/tulipwithcarriage_Fotor-1024x768.jpg)
春には、ウォグナム駅 (Wognum) にもカラフルなチューリップが咲いています!
![チューリップと客車](https://artoexplore.net/wp-content/uploads/2019/05/tulip_carriage-1024x768.jpg)
この汽車の旅でもう一つの楽しみが、車内で食べれるオランダ定番の小さなパンケーキ「ポファチェス (Poffertjes)」
![車内販売の小さなパンケーキ](https://artoexplore.net/wp-content/uploads/2019/05/poffertjes-1024x768.jpg)
ホーレン駅を出発すると車内でスタッフが注文を受け、ウォグナム駅を出てから配られます。
このポファチェスの値段は €3.7ユーロ。(2019年の価格)
![ツゥイスク駅](https://artoexplore.net/wp-content/uploads/2019/05/twisk_station-1024x768.jpg)
Twisk駅
その後、汽車は「Twisk」と「Opperdoes」駅にも一時停車しますが、降りることはなく乗車したままで直ぐに出発します。
![オッパードゥース駅](https://artoexplore.net/wp-content/uploads/2019/05/opperdoes_station-1024x768.jpg)
Opperdoes駅
そして、汽車は終点のメデムブリック駅 (Medemblik) に到着。
![蒸気機関車でレトロな旅](https://artoexplore.net/wp-content/uploads/2019/05/medemblik_stoomtram-1024x768.jpg)
駅に着いた汽車は、折り返し運転するのでそのままホームに停車。
蒸気機関車だけは、方向転換のために単独で移動し、給水と連結作業が行われます。
![メデンブリック駅](https://artoexplore.net/wp-content/uploads/2019/05/medemblikstation-1024x768.jpg)
ちなみに、この駅に停車している黒い貨物車の中はトイレになっています!
【走る博物館】の乗り物
ここからは博物館の乗り物、蒸気機関車と客車、そして遊覧船も見ていきましょう。
(汽車の運行については時期や期間帯によって、蒸気機関車と牽引する客車は異なる場合があります)
蒸気機関車・ベッロ【NS7742 Bello】
![蒸気機関車ベッロ](https://artoexplore.net/wp-content/uploads/2019/04/bello_7742-1024x768.jpg)
この『走る博物館』で主役となるのが、1904年にドイツで製造された蒸気機関車『NS 7742型・Bello』
大きさ的には普通の蒸気機関車よりひと回り小さめで『きかんしゃトーマス』を思わせるような感じです!
![ベッロ蒸気機関車のプレート](https://artoexplore.net/wp-content/uploads/2019/04/ns7742_Bello-1024x768.jpg)
100年以上前の機関車ですが、とても綺麗に復元され現役で活躍しています。
資料によると、この蒸気機関車の最高速度は65km/hとなっていますが、この路線においては約30〜40km/hで、ゆっくりと走行します。
機関室の見学
![機関室の様子](https://artoexplore.net/wp-content/uploads/2019/05/engineroom-1024x768.jpg)
ホールン駅を出発した列車は終点のメデムブリック駅に着き、そこでは記念に写真を撮ったり、蒸気機関車をじっくり見ようとたくさんの人が詰めかけます!
私もメデムブリック駅に到着した際に、機関室の中を見学させてもらいました。
機関室内も外観と同様に、とても綺麗に復元されています!
![機関室のボイラー](https://artoexplore.net/wp-content/uploads/2019/05/boilerroom-1024x768.jpg)
さすがにボイラーのある機関室は、熱気を感じます!
![機関室内にある石炭](https://artoexplore.net/wp-content/uploads/2019/05/enginroom_coal-1024x768.jpg)
石炭はどこにあるのかなと...?
機関室の左側に収納スペースがありました。
機関車を見学するヒント!
出発のホールン駅や、列車がメデムブリック駅に到着したばかりの時は、たくさんの人が蒸気機関車に詰めかけてしまいます。
しかし、しばらく待つと見学する人も機関車から離れるので、その頃が狙い目!
そして、メデムブリック駅では帰路の方向転換のために、機関車の単独移動も見られるので、興味のある方はこの時間帯が一番のオススメ。
【Bello】が牽引する客車
Bello が牽引する客車は1950〜1954年に製造された車両で、オーストリアの鉄道で使用されていました。
これらの客車は連結器部分を通行することが可能で、走行中もデッキに立つこともできますが、蒸気機関車のすぐ近くの車両にいると、石炭の灰をかぶってしまうので注意を!
蒸気機関車【SHM 30】
![蒸気機関車SHM30型](https://artoexplore.net/wp-content/uploads/2019/05/shm30-1024x768.jpg)
この蒸気機関車はドイツ製、1908年に製造。
『SHM-30型』【Arnold Jung Lokomotivfabrik】
当時は、ロッテルダムのガス工場で使用されていた機関車です。
![30型蒸気機関車の機関室](https://artoexplore.net/wp-content/uploads/2019/05/SHM30_engineroom-1024x768.jpg)
この蒸気機関車は期間限定での走行。
【SHM30】が牽引する客車
SHM30型-蒸気機関車が牽引するのは、どれも100年程前の歴史のある客車ばかりで、貨物車・郵便車なども一緒に連結されています。
それぞれの客車には、木の座席の2等車と、柔らかいクッションが敷かれた1等車に別れています。
遊覧船【Friesland】
![走る博物館の遊覧船](https://artoexplore.net/wp-content/uploads/2019/05/ferry_friesland-1024x768.jpg)
エンクハウゼンとメデムブリック間のアイセル湖沖を運航する遊覧船「フリースラント (Friesland)」
この遊覧船は、1955年に製造されました。
当時、オランダの北部にある街「ハルリンゲン (Harlingen)」と、さらに北に位置している島「テルスヘリング (Terschelling)」間を、1980年代半ばまで運航していた船です。
船の様子はこんな感じで、座席とテーブル、船内中心部にはバーも設置されているので、スナックや飲み物などを購入することもできます。
移動時間は1時間以上あるので、お茶をしながら船の旅を楽しめます!
乗車ポイントへのアクセス方法
博物館のある汽車の出発地点はホールンですが、それぞれの乗車・乗船ポイントについても説明します。
ホールン駅への行き方
![蒸気機関車のホールン駅](https://artoexplore.net/wp-content/uploads/2019/05/hoornstation_stoomtram-1024x767.jpg)
博物館の汽車の出発地点はホールン駅 (Hoorn)。
オランダ鉄道の駅舎ではないので、間違えないように!
この駅へのアクセスは、アムステルダムから直通の列車・インターシティ (Intercity) を利用すれば、所要時間は約30分。
ちなみにインターシティは、30分おきにアムステルダムから出発しています。
(ホールン駅・博物館 (窓口) の場所)
エンクハウゼンへの行き方 (遊覧船を利用する場合)
![エンクハウゼン駅](https://artoexplore.net/wp-content/uploads/2019/05/enkhuizen_station-1024x768.jpg)
汽車で往復する場合は再びホーレン駅に戻ってきますが、帰路を遊覧船で戻る場合には、エンクハウゼン (Enkhuizen) が到着地になります。
往路で遊覧船を利用する場合にも、ホールンではなくエンクハウゼンまで行かなければなりません。
この場合、エンクハウゼンとホールン間は、オランダ鉄道 (NS) を利用しますが、この区間の乗車料金は博物館のチケットには含まれていないので、別途に購入します。
![オランダ鉄道インターシティ](https://artoexplore.net/wp-content/uploads/2019/05/ns_intercity-1024x768.jpg)
オランダ鉄道 (NS) インターシティでの所要時間
《エンクハウゼン駅の場所》
遊覧船乗り場は駅から100mちょっとなので、直ぐに見つけられるでしょう。
参考までに、こちらはエンクハウゼンの街歩きバーチャル動画です。
メデムブリックで汽車とフェリーとの乗り換え
![メデムブリッツの汽車とフェリーとのアクセス](https://artoexplore.net/wp-content/uploads/2019/05/medemblik_tram_ferry-1024x767.jpg)
汽車の終着駅「メデムブリック駅 (Medemblik)」
遊覧船との乗り換えは、この場所になります。
![メデンブリックの遊覧船乗り場](https://artoexplore.net/wp-content/uploads/2019/05/medemblik_ferryport-1024x768.jpg)
遊覧船乗り場は、メデムブリック駅のちょうど反対側に位置しています。
(メデムブリック駅の場所)
メデムブリックでの過ごし方
![メデンブリック駅前の商店街](https://artoexplore.net/wp-content/uploads/2019/05/medemblik_street-1024x768.jpg)
ここでチョット、メデムブリックでの過ごし方を簡単に提案します。
汽車と遊覧船のどちらでも、メデムブリックに到着するのはお昼時で、折り返しで出発するまで1時間20分も時間があります。
駅前の通りは小さなショッピング街で、カフェやレストランも数件立ち並んでいるので、その時間を利用して昼食をとるのがオススメ!
![メデンブリックのベーカリー博物館](https://artoexplore.net/wp-content/uploads/2019/05/bakkerijmuseum-1024x768.jpg)
Bakkerij Museum
駅のすぐ近くには、パン屋の博物館 (Bakkerijmuseum) があるので、ここに訪れるのもいいと思います。
パンやお菓子の製造に関する資材の展示以外にも、実際にクッキーやチョコレート作りを実演しています。
博物館にはショップもあるので、いろんなお菓子を買うこともできます。
なぜ、この博物館がオススメかというと、実はインターネットで汽車のチケットを申し込む際に、この博物館の入場券も割引で購入できるからです!
🔵 Bakkerijmuseum De Oude Bakkerij
◾️営業日程・時間
火曜日〜日曜日、11:00 ~ 17:00
◾️入場料
大人 €9 / 3~12歳 €6 / 2歳以下 無料
ミュージアムカード所持者は無料
(ベーカリーミュージアムの場所)
チケットの買い方
博物館のチケット (乗車・乗船) は、ホーレン駅の蒸気機関車の発着する駅舎の窓口で購入します。オランダ鉄道の駅舎とは異なるので間違えないように!
往路をフェリーで行く場合には、エンクハウゼン駅前にある観光案内所 (VVV-Enkhuizen) でチケットが購入できます。
🔵 往復料金
- 大人:€26.95 ユーロ
- 4〜12歳:€19.5 ユーロ
- ミュージアムカード対応 (オンラインでの予約手数料 €2)
乗車チケットの枚数には制限があるので、もし当日に購入するのでしたら最低でも30分くらい前に到着しておいたほうが無難です。
特に祭日や週末・観光シーズンのピーク時では、混雑や早めに売り切れてしまう場合もあります。
確実にチケットを確保するには、インターネットで申し込みをしておいた方が無難です!(ウエブサイトは英語にも対応しています。)
※インターネットで申し込んだ場合は、Eメールにチケットが送られてくるので、チケットをA4用紙にプリントするか、スマホにダウンロードして持参するのを忘れずに!
利用するルートは次の3通りから選べます。
- 汽車で Hoorn ~ Medemblik の往復
- 往路: Hoorn → Medemblik (汽車)、帰路: Medemblik → Enkhuizen (フェリー)
- 往路: Enkhuizen → Medemblik (フェリー)、帰路: Medemblik → Hoorn (汽車)
※遊覧船を利用する場合、Hoorn 〜 Enkhuizen 駅間の鉄道料金 (NS) は、博物館の乗車チケットに含まれていないので注意を!
チケットには、博物館であるホールン駅内の展示室や、アトリエの見学も含まれているので、往復して戻ってきてからじっくり見学するといいですよ。
ミュージアムカード対応
オランダのミュージアムカードを持っていれば、無料で汽車とフェリーに乗ることができ、オンラインで事前に予約しても手数料・€2ユーロだけの支払いです。
ミュージアムカードについて、詳しくはこちらから!
運転スケジュール
蒸気機関車の運転する期間は春から秋にかけて。(日程によって汽車の運転本数は異なります)
運行期間:2024年3月末 〜 9月末
🔵1日1往復の場合のスケジュール
🔵1日に2往復する場合、2本目の汽車のスケジュール
※蒸気機関車・客車の編成はスケジュールによって変わる場合があります。
最後に
オランダでレトロな汽車に乗って、のどかな旅が体験できる『走る博物館』
特にチューリップ畑の見れる4月中旬〜5月始めはオススメですが、それ以外の時期でも美しいオランダの風景を眺め、タイムスリップしたかのような汽車の旅を楽しめるのは間違いないでしょう!
汽車で往復するのもいいですし、遊覧船との組み合わせで3つの街を巡ってみるのもいいですよ。