Haarlem
オランダの首都アムステルダムからほんの少し離れたところに、わりと穏やかに観光できる「ハーレム」という、中世に栄えた都市があります。
この街は『ゆったりとオランダらしい街並みを観たい!』という方には、ピッタリの場所です。
歴史的建築物や美しい風車もあるハーレムの街には、一体どんな見所があるのかをお伝えしていきます。
※2023年5月7日 更新
🕙この記事は約6分で読めます。
ハーレムとは一体どんな街?
ハーレムは、アムステルダムから海側へ向かって、ほんの20キロ離れたところに位置している都市。
街並みはアムステルダムに似てるところがありますが、都市の中心部は車の通りが制限されているので、わりと穏やかに観光することができます。
アムステルダムより小さな都市ですが、歴史的建築物や有名なミュージアムなどの見所もあり、カフェやレストラン、そしてたくさんのお店が軒を連ねているショッピング通りもあるのです。
主な見所は、ハーレム駅から南側に位置している旧市街地。
海外から観光で訪れた人の中には『なんて美しい街なんだ!』と、ビックリする人も多くいるようです!
オランダならではの風車も見られ、その他には運河クルーズやレンタル自転車も利用できるので、レジャーにも最適。
ザントフォールト (Zandvoort) というリゾート海岸も、ハーレムから約10キロのところに位置しているので、天気の良い暖かい日にはレンタル自転車で、サイクリングを兼ねて海岸へ行ってみるのもいいですよ!
もちろん、鉄道やバスで行くこともできます。
ちなみに、アムステルダムはオランダの首都で、同じ北ホランド州 (Noord-Holland) にあるのですが、この州都市はハーレムなのです!
Haarlemを正確に呼ぶと「ハールレム」ですが、日本語では「ハーレム」とも呼ばれています。
グローテ・マルクト広場
Grote Markt
旧市街地の中心部となるグローテ・マルクト広場の周りには、見所が集中していて中世の歴史建造物が立ち並び、タイムスリップしたかのようにも感じられることでしょう!
カフェやレストランも広場周辺に軒を連ねていて、春から夏にかけて天気の良い日にはテラスで広場を眺めながらコーヒーなどを飲んで休憩したり、食事をするのも楽しみの一つです。
そして広場を中心に放射状に別れた通りは、総括してゴールデンストリートと呼ばれる7つの通りがあり、たくさんのお店が立ち並ぶショッピング街になっています。
🔵ゴールデンストリート 【Gouden Straatjes】
🔵これらのショッピングストリートの営業時間。
毎週土曜日になるとハーレムの名物でもある屋外マーケットが、この広場いっぱいに開催されます。
地元の人に加えて観光客もこのマーケットの情報を知って、たくさんの人が訪れる人気スポットとなっています。
この広場でのマーケット開催時間は、8:30~17:00。
12月にはグローテ・マルクトを中心に、年に2日間だけ開催される大規模なクリスマスマーケットも注目の一つです!
ハーレムのクリスマスマーケットは、毎年オランダのベスト10に選ばれるほどの大人気。
市庁舎 (スタッドハウス)
Stadhuis
グローテ・マルクト広場に面している市庁舎は、ハーレムの歴史的建造物のひとつで、1250年に建てられた当初は狩猟用のロッジでした。
1351年になると、街で起きた大火災で建物の大部分が焼失。
その後に再建されてからは、市役所や警察署としても利用されてきました。
現在は市役所の一部としての業務と、市民の結婚式にも利用されています。
建物の1階 (写真・右側) には、観光案内所 (VVV Haarlem) が設置されているので、はじめてハーレムの街を訪れるのでしたら、ぜひ立ち寄ってみるといいですよ!
ミュージアムのチケットやイベント情報、街の地図や散歩コースなど、いろんな情報を探し出すことができます。
ハーレム市内の地図を、購入することもできます。
◾️観光案内所 (VVV Haarlem) 営業時間
月〜土曜日、10:00 - 17:00
日曜日、11:00 - 15:00
(休業日、祭日)
◾️ 地図の表示
ローレンス・ヤンスゾーン・コスター像
Laurens Janszoon Coster
グローテ・マルクト広場にある銅像の人物は「ローレンス・ヤンスゾーン・コスター」
15世紀にオランダで印刷技術を発明した人物ですが、ちょうど同じ頃にドイツのヨハネス・グーテンベルグも印刷機を発明して、ローレンス・コスターは影的な存在になってしまいました。
少し分かりづらいですが、銅像の右手には活字の「a」を掲げています。
ちなみに、ヨハネス・グーテンベルグの銅像は、フランクフルトの「ゲーテ広場」に建てられています。
聖バフォ教会 (グローテケルク)
Grote of St. Bavokerk
この街で絶対に見ておきたい歴史的建造物で、ハーレムのランドマークでもある「聖バフォ教会」
またの名を「グローテ・ケルク」(Grote Kerk) とも言います。
16世紀に完成して、その後何度かの修復作業も経て現在に至ってますが、その歴史は10世紀にもさかのぼります。
この教会で一番の見所は、モーツアルト (Mozart) とヘンデル (Händel) も演奏したことのあるパイプオルガンです。
1738年に建てられたこのオルガンは、5000本以上のパイプで構成されていて、完成当時は世界で最大規模のオルガンと言われていました。
聖バフォ教会については、こちらの記事で詳しくお伝えしています。
聖バフォ教会の詳細
◾️入場料
€4 ユーロ (17歳以上) / €2 ユーロ (13〜16歳) / 12歳以下 無料
◾️営業時間
月〜土曜日、10:00~17:00
◾️ 地図の表示
フレースハル (フランス・ハルス美術館・Hal)
Vleeshal (Frans Hals Museum・Hal)
フレースハル (Vleeshal) は、17世紀初期に建てられた建築物で、当時は肉市場として使用されていました。
建物の外見を見ると、その造りから今でも歴史を感じられますね!
現在この建物は、この後に説明する「フランス・ハルス美術館」のギャラリーとして使用されていて、主に現代アートを展示しています。
以前は「デ・ハレン・ハーレム (De Hallen Haarlem)」という名前でしたが、2018年3月末からは「ハンス・フランス美術館・Hal」に名前が変更となりました。
※ Hal とは「市場、ホール」という意味です。
フランス・ハルス美術館・Hal 詳細
◾️入場料(ハンス・フランス美術館、共通券)
大人 €16 ユーロ / 19~24歳 €8 ユーロ / 18歳以 無料
参考:ミュージアムカード対応
◾️営業時間
火〜日曜日 11:00~17:00
◾️ 地図の表示
考古学博物館
Archeologisch Museum Haarlem
フレースハルの建物の地下にある小さな考古学博物館では、ハーレムとその周辺の地域の考古学に関する資料などを展示しています。
小さな入り口なので見落としてしまうかもしれませんが、フレースハルの正面から見て建物の左側に位置しています。
考古学博物館詳細
◾️入場料:無料
◾️営業時間:水〜日曜日 13:00~17:00
◾️ 地図の表示
🌐www.archeologischmuseumhaarlem.nl
ハーレムでおすすめのミュージアム
ハーレムで、ぜひ見ておきたいミュージアムを2軒お伝えします。
ひとつは、オランダ最古の博物館「テイラース・ミュージアム」
そしてもう一つ、オランダ黄金時代における画家の一人「フランス・ハルス」の作品と、中世の画家の作品を集めた美術館「フランス・ハルス美術館」
テイラース・ミュージアム
Teylers museum
テイラース・ミュージアムはオランダで最も古い博物館で、建物のインテリアは博物館が設立してから変わっていないようです。
この博物館は、ハーレム出身の商人でもあり銀行家の「テイラー・ファン・デル・フルスト (Pieter Teyler van der Hulst)」によって設立され、1784年に一般公開となりました。
博物館に展示されているものは、絵画や化石、鉱物、楽器、書籍、コインやメダルなど多彩なコレクション。
絵画や版画のコレクションにはレンブラントや、オランダでは唯一ミケランジェロの作品を20点以上も所有しているのです!
定期的に特別な展示会も開催されているので、オランダに住んでいる人にとっては何度訪れても楽しめる博物館です。
テイラース・ミュージアム詳細
◾️入場料
18歳以上 €15 ユーロ / 6~17歳 €2.5 ユーロ / 5歳以下 無料
参考:ミュージアムカード対応
◾️営業時間:火〜日曜日、10:00~17:00
◾️ 地図の表示
フランス・ハルス美術館
Frans Hals Museum
中世のオランダ黄金時代における有名な肖像画家「フランス・ハルス」の作品と、16~17世紀における画家のコレクションを展示している美術館です。
「フランス・ハルス」とは、レンブラントと同じ時期に活躍していたオランダ画家の一人で、彼の作品には地元の民衆を描いた肖像画が多く、特に微笑んでいる人物画を描いていました。
そのことから「笑いの画家」とも呼ばれていたそうです。
ベルギーのアントワープで生まれた彼は、後にハーレムに移り住み画家として活躍し、この地で生涯を終えました。
フランス・ハルスは聖バフォ教会に埋葬されています。
この建物は、17世紀に建てられた俗に言う養老院を改装して、美術館として使用しています。(写真、左側)
美術館前の通りは、まるで中世の街中にいるような感じが持てる、ハーレムで美しい通りの一つです。
フランス・ハルス美術館詳細
◾️入場料 (ハンス・フランス美術館・Hal 共通券)
大人 €16 ユーロ / 19〜24歳 €8 ユーロ / 18以下 無料
参考:ミュージアムカード対応
◾️営業時間
火〜日曜日 11:00~17:00
◾️ 地図の表示
コリー・テンボームハウス博物館
Corrie Ten Boom House
アムステルダムにあるアンネ・フランクの家と同様に、ハーレムにもユダヤ人をかくまった家があるのです。
時計職人であるオランダ人女性のコリー・テン・ボーム氏は、第二次世界大戦中にナチスから逃げてきたユダヤ人を守るために、自宅を隠れ場としていました。
隠れ場は最上階にある壁の裏に作られてあり、壁の一部をくり抜いて中の様子が見れるようになっています。
こちらの博物館は専属ガイドの同行で見学が可能。
ガイドツアーの予約は、オランダ語・英語に分かれており、オンラインで申し込みができます。
尚、写真や動画の撮影は許可されていませんので、訪れた時にはじっくりと観ておきましょう!
コリー・テン・ボーム・ハウス詳細
◾️入場:無料
(見学後に寄付金を歓迎)
◾️営業時間:火〜土曜日、10:00~16:30
◾️地図の表示
ホフィエ (中庭)
Hofje
オランダにはホフィエ (Hofje) という中庭を設けた建物がたくさんありますが、この街にもいくつか存在しています。
ホフィエとは簡単に説明すると12~19世紀に建てられた、貧しい老婦人や未亡人を支援するための社会施設で、今現在でも住居者が生活しています。
どのホフィエも綺麗な庭を囲むように建物が建てられているのが特徴です。
テイラース・ホフィエ
Teylers Hofje
このホフィエは、先にお伝えしたテイラース・ミュージアムの創立者「ピーター・テイラー・ファン・デル・ヘルスト」によって設立された中庭です。
見学できないホフィエが多い中、テイラース・ホフィエは一般に公開していますが住民が暮らしているので、もし訪れる場合は静かに見学するように心掛けましょう。
◾️テイラースホフィエ見学時間
月〜土曜日 10:00~18:00
◾️地図の表示
バケネス・ホフィエ
Hofje van Bakenes
こちらはオランダで最も古いホフィエで、1395年に設立されました。
中庭の見学も可能ですが、事前に予約をして許可が必要となります。
◾️ 地図の表示
白い跳ね橋 (グラフェステーネンブルグ)
Gravestenenburg
この跳ね橋は19世紀に存在していたものを、1950年に再建して出来ました。橋の骨組みは鉄製ですが、路面は木製でできています。
橋のある場所は、テイラース・ミュージアムのすぐ近く。
大きな船が通るときには、実際に開きます!
この写真は、テイラース・ミュージアムの前から撮影したもので、川の反対側にあるオランダらしい切妻屋根の建物にも注目!
この場所も、ハーレムで美しい風景が眺められる見所の一つです!
◾️場所を地図で表示
アムステルダムポート
Amsterdam Poort
15世紀に建てられた、ハーレムで唯一残っている中世の都市門。
かつてハーレムには11ヶ所に都市門があったそうです。
建物の内部を見学することはできませんが、この門は歩行者と自転車の専用路になっているので、門の下をくぐって見ることはできます!
この場所は、旧市街地中心部から少し離れていますが、テイラース博物館から徒歩で約8分、グローテマルクト広場からは約10分で行ける距離です。
◾️場所を地図で表示
アドリアーン風車
De Adriaan Molen
市内を流れるスパールネ川沿いに建てられた、ハーレムの美しい風車「アドリアーン」
18世紀に建てられましたが、1932年に大規模な火災が起きてしまい、その後再建され近年の2002年に完成した、事実上新しい風車です。
風車の中は博物館にもなっていて、専属のガイドさんの同行で見学が可能。(英語による説明です)
上部のデッキからは外に出て、ハーレム市内が眺められますよ!
アドリアーン風車については、こちらの記事で詳しくお伝えしています。
アドリアーン風車詳細
◾️入場料
€7.5ユーロ (13歳以上) / €3.5ユーロ (5〜12歳) / 4歳以下 無料
◾️営業時間
3月1日〜10月31日:月〜金曜日、13:00~17:00 / 土・日曜日、10:30~17:00
11月1日〜4月31日:月・金曜日、13:00~16:30 / 土・日曜日、10:30~16:30
◾️地図の表示
聖バフォ大聖堂
Kathedrale Basiliek Sint Bavo
ハーレムには、もう一つの聖バフォという名の教会があり、こちらは1895~1906年に建てられたカトリックの大聖堂。
この大聖堂での見所は、日の光でステンドグラスの色が壁や柱などに照らされ、とても美しい光景が見られます。
そしてもう一点、高さ約60mの塔にも上ることができ、ハーレム市内を一望する楽しみもありますよ。
この教会はハーレム中心部から少し離れているので、時間があるようでしたら訪れてみたいスポットとして挙げておきます。
聖バフォ大聖堂詳細
◾️入場料
教会・塔見学:€8.5ユーロ / 5~12歳 €4ユーロ / 4歳以下 無料
(オーディオガイド付き)
◾️営業時間
月~日曜日 13:00 ~ 17:00
※営業時間は変わる事もあり得ます。
◾️地図の表示
ハーレム駅
Haarlem Station
ハーレム駅は、1839年にオランダで最初に鉄道が開通した時の駅の一つで、1906年になると高架に改修されました。
この駅の見所は、オランダで唯一のアールヌーボー様式で建てられた駅舎です。
プラットホームには木造の建物が残されていますが、中は何も使われず空っぽのところもあります。
当時の待合室も残されており、現在でも一部が使用されています。
また、建物の一部はカフェを兼ねたショップにもなっているので、列車の待ち時間に利用するのも便利。
2023年現在、店舗は閉鎖されています。
駅構内には、いくつかのタイル画が壁に埋め込まれてあり、その中には1939年にオランダ鉄道開通100周年を記念したものがあります。
◾️場所を地図で表示
駅前の銅像
Wigbolt Ripperda en Kenau Simonsdochter Hasselaer
中世に起きたスペインとの80年戦争で、7ヶ月以上に渡ってハーレムを敵から防衛し、英雄となった2人の銅像です。
この銅像は駅前広場にあるので、もし気がついたらチョット見ておきましょう。
穴場のベーカリー・カフェ!
最後に一軒だけ、可愛らしいおすすめのカフェを紹介します。
In Den Gevulde Broodmand
色鮮やかなレンガ色の建物の中にある、ベーカリーのティールームで、店内の可愛らしい飾りつけにはぜひ注目です。
落ち着いた雰囲気でのランチや休憩には最適!
詳しくは、こちらの記事でお伝えしています。
ハーレムへのアクセス
鉄道を利用すれば、アムステルダム中央駅から乗り換え無しの直通で、約15〜20分。
スキポール空港からも一度乗換えておよそ30分。乗換え駅は「Amsterdam Sloterdijk」
空港から直通のバスを利用すれば、駅前のバスターミナルまで約40分。(バスは300号線)
そして、市内中心部のグローテ・マルクト広場へは、ハーレム駅から徒歩で約10分。
最後にちょっと余談
10世紀の頃、ハーレムの中心部にある広場に木造の教会(後に聖バフォ教会)が建設され、ここを中心に街が拡張していき1245年に「都市」の権利を得ました。
14〜15世紀には、織物、造船、ビール醸造などの産業が盛んで、オランダで最も重要な都市の一つとなり「オランダの古都」と言われています。
しかし都市は不景気になり、16世紀にはスペインとの80年戦争が起きてしまいました。その後は再び産業が復活し活気が戻りました。
17世紀からは球根栽培も盛んで、「花の街 (Bloemenstad) 」とも言われていました。
アメリカのニューヨーク市にあるハーレム地区「Harlem」は、17世紀にオランダ人移民が移住して、オランダの植民地総督「Peter Stuyvesant」が「Nieuw Haarlem」を設立したのがこの街の名前の由来となっています。
マンハッタンには、彼の名前が付けられた通り「Stuyvesant Street」もありますね!
ついでにもう一つ、ニューヨーク市のブルックリン地区「Brooklyn」も、元の名前はアムステルダムとユトレヒトの中間に位置している小さな町「Breukelen」が由来となっています。
おわりに
オランダにはたくさん歴史的な街はありますが、中世に最も栄えた都市「ハーレム」の主な見所をお伝えしてきました。
歴史が詰まっている旧市街地には、見逃せない場所がたくさんあります。
それとは別に、川や運河沿いで美しい街並みを眺めたり、カフェやレストランでくつろぐのも、ハーレムでの楽しい過ごし方ですよ!