チーズ生産国として世界的にも有名なオランダ。
しかし、その種類には銘柄や熟成度、脂肪分などにも分けられ、よく分からないというのが本音だと思います。
チーズに詳しくない人にとっては『何を選べばいいのかな?』
...と、疑問に思うことでしょう。
全てを知り尽くさなくても、オランダのチーズに関する知識を、分かりやすくまとめてみました。
※2021年11月25日 更新
オランダのチーズについて
オランダでチーズが作られていた歴史をたどると、最も古い証拠として紀元前800年にチーズ作りの土器が発見されています。
【オランダ語でチーズを カース (Kaas) と言います。】
中世のオランダ黄金時代には、たくさんのチーズが生産・輸出されるようになりました。
その頃 、1593年に始まったアルクマール (Alkmaar) のチーズマーケットは、オランダでは最古のもので、現在でも伝統的なイベントとして続けられています。
知っておきたいチーズの種類
オランダ国内の様々な地域で生産されているチーズですが、それぞれに異なった風味があります。
【主な銘柄】
この中で、最も有名なのがゴーダ (Gouda) チーズで、オランダ国内の生産量の60%を占めています。
チーズは次の2種類に分けられ、オランダを含めヨーロッパで生産している主なものがナチュラルチーズになります。
🔵 ナチュラルチーズ
高温での加熱処理をせず、ミルクを固めて発酵熟成させているので、乳酸菌は生きています。この乳酸菌が時間と共に熟成を促し、コクのあるチーズを作り出します。
🔵 プロセスチーズ (加工チーズ)
ナチュラルチーズを加熱して溶かし、乳化剤などを混ぜて作ります。その結果、乳酸菌は死滅しますが保存期間が長くなります。
例としては、銀紙で包まれた三角形や四角形のチーズが挙げられますね。
日本では、ゴーダチーズがナチュラルチーズの元としても使われています。
チーズは硬さでも分けられ、オランダのチーズはセミハードタイプからハードタイプに分類されます。
ハードタイプの例として思いつくのが、パスタなどに振りかけるイタリアの「パルミジャーノ・レッジャーノ」、ソフトタイプとしては「カマンベール」が挙げられます。
熟成度について
オランダのチーズは、熟成期間によって分類されており、それぞれに名前が付けられています。
名前 | 意味 | 熟成期間 |
Jonge kaas | 若い | 4週間 |
Jong belegen | 若く熟した | 8〜10週間 |
Belegen kaas | 熟成 | 16~18週間 |
Extra belegen | さらに熟成 | 7〜8ヶ月間 |
Oude kaas | 古い | 10〜12ヶ月間 |
Overjarige kaas | さらに古い | 12ヶ月以上 |
Extra Oude kaas | より一層古い | 18ヶ月以上 |
長い間熟成させたチーズは、若いチーズと比べると乾燥しているので柔らかくないですが、風味が濃くなります。
これは、ナチュラルチーズの特徴でもあります。
熟成したチーズ・固い | 若いチーズ・柔らかい |
脂肪分について
熟成度とは別にオランダのチーズには、脂肪分の量も分類して表示しています。
パッケージの表か裏面に記載してある、30+、48+ などの数値が脂肪分を表しています。
種類 | 水分 | 脂肪分 |
60+ | 40% | 36% |
48+ | 42% | 28% |
30+ | 47% | 16% |
20+ | 47% | 11% |
※銘柄によって数値 (脂肪分) は多少異なります。
同じ48+のチーズでも、Oude kaas は Jong kaas よりも脂肪分が多く含まれています。
Oude kaas 48+ (脂肪が多い) | Jong kaas 48+ (脂肪が少ない) |
その他に言える事として、例えば同じJong Kaas (若いチーズ) でも、 脂肪分の数値が少なくなると、多少固めになります。
Jong Kaas 30+ (固い) | Jong Kaas 48+ (柔らかい) |
いろんなチーズ
スライスチーズ 【Plakken】
スーパーマーケットでは、サンドイッチにも使う薄いスライスチーズ (Plakken) がたくさん売られていて、1パックは7〜8枚入り (150〜190g) 、もしくはそれ以上入っているのもあります。
私自身もサンドイッチをよく作るので、スライスチーズはとても便利に使えます。
たくさんある銘柄のなかでも、スーパーマーケットでは「BEEMSTER」(ベームスター) と「MILNER」(ミルナー) というブランドがよく見かけられます。
この2つの銘柄の特徴は、チーズに含まれている脂肪分が異なります。
BEEMSTER | MILNER |
脂肪分 48+ | 脂肪分 30+ |
柔らかい食感 | 固めの食感 |
🔵ベームスター低脂肪チーズ!
2020年以降になってベームスターから30+ や、他の銘柄からも20+ といった低脂肪のチーズも新らしく発売されています。
そして、チーズの種類も若いものから熟成したチーズまで、たくさんのラインナップ。
こだわりのオールドアムステルダム
オランダでも名高いチーズ・ブランド「Old Amsterdam」
オールドアムステルダムは長期間熟成たチーズですが、牛乳選びから製造方法にまでこだわりがあり、最高の味を求め生まれたブランドです。
他のチーズから比べると、深い旨みとコクがあるのが特徴的です!
熟成した古いチーズは固めなのですが、このオールドアムステルダムに関しては、柔らかさを実現しています。
こちらは一口サイズが28個入った、おつまみには最適のチーズです!
オールドアムステルダムは専門店に限らず、スーパーマーケットでも販売しているので、オランダ国内のどこでも買うことができます。
スモークチーズ
プロセスチーズに分類されるスモークチーズは、クセがなく柔らかい食感が特徴です。
食材を混ぜたチーズ
オランダの観光地にあるチーズ店や、Henri Willing のショップ (メーカー専門店) では、ゴーダチーズにいろんな食材が混ぜたものがあり、その種類には、ガーリック、ハーブ、赤唐辛子、黒胡椒、ココナッツ、トリュフなどが含まれています。
ほとんどのチーズ専門店では試食ができるので、どのような味がするのか試してみるといいでしょう!
農薬などの化学物質を使用していないオーガニックチーズや、グリーンペストチーズも作られています。
こちらは、アムステルダムの Henri Willing 店で見かけたのですが、チーズにスパークリングワインを混ぜたもの!
試食してみましたが、確かにスパークリングワインの風味がありました。
お店によっては、ハイネケンビールを混ぜたチーズも販売しています!
ヤギのチーズ
チーズは牛のミルクから作られますが、オランダにもヤギのミルクから作られたのもあります。
ヤギのチーズはオランダ語表示で「Geitenkaas」
ただし、このチーズは匂いやクセがあるので好まない人もいるでしょう。
牛乳から作られるチーズに比べると、多くの種類はありません。
チーズの栄養について
1kgのチーズを作るのには、10リットルの牛乳が使われます。つまり、牛乳の10倍の栄養素がチーズには含まれているという事ですね。
その栄養素には、タンパク質、ミネラル (カルシウム、マグネシウム、リン) 、脂肪、ビタミン (A、B2、B12) 、などがあげられますが、難しく考えずに健康に良いという事に間違いはありません。
ただし、栄養素の多いチーズでもビタミンCは含まれていないので、野菜と一緒に食べるとバランスよく栄養補給ができます。
カルシウムは牛乳と比べるとはるかに多く含まれているので、骨や歯には良い効果があります。
牛乳を飲んだらお腹の具合が悪くなる人でも、チーズなら問題になりません。その原因である乳糖が、製造過程で分解されてしまいます。(チーズでは乳糖が牛乳より少ないからです。)
チーズ = 脂肪 = 太る というイメージもあるようですが、チーズに含まれている脂肪分というのは、食べてもすぐに消化されてしまい、大きな問題にはなりません。
太る一番の原因とは必要以上に摂取してしまうこと。つまり、食べ過ぎは禁物!
実際に太る原因とは、脂肪分ではなく糖質が影響するのです。
それでも気になるようでしたら、先にも説明した脂肪分の少ないチーズを選ぶと良いでしょう!
チーズで虫歯予防
栄養素の豊富なチーズは、虫歯の予防にもなるということが、アメリカの研究機関の調査で判明し、世界保健機関 (WHO) でも認められています。
その理由とは、虫歯の要因でもある口の中の酸性の状態を、チーズを食べるとによりアルカリ性が強まっていき、また、歯の表面に保護膜ができてエナメル質が腐食するのを防ぐと言われてます。
保存方法
チーズは20度を超えると発汗するので、好ましい保存方法としては、密閉した容器やラップに包み冷蔵庫で保管することです。
チーズの包装には賞味期限が表示してありますが、開封後の保存期間の目安として、若いチーズは約1週間、成熟・古いチーズは約2週間。
しかし、保存中にカビが発生する可能性も十分にあるので、その場合には、カビの周辺を最低でも1センチ以上取り除けば、問題なく食べられます。
チーズの販売店
チーズは専門店に限らず、スーパーマーケットでもたくさん販売しています。もちろん、空港でも取り扱っています。
もし、お土産に持ち帰るのでしたら、専門店であればチーズを真空パックに梱包してもらえます。
オランダ語で話さなくても、英語でバキュームパック (vacuum pack) と言えば分かります。
まとめ
最後にオランダのチーズ選びでまとめてみると、柔らかさを求めるのでしたら、スモークチーズや若いチーズ。
そして、コクのある味を楽しむのでしたら、成熟・古いチーズが適しています。
脂肪分の少ないチーズを選ぶのでしたら、20+、30+ といった数値の低いもの。
栄養素が豊富で、おまけに虫歯予防にもなるチーズには、たくさんの種類があるので、いろんな味や食感を楽しんでみるのも興味深いと思いますよ。
参考までに、オランダでは春から夏の終わりにかけて、チーズマーケットのイベントが開催されています!