中世のヨーロッパでは「魔女裁判」というのが行われていました。
当時、疑わしい女性は秤 (はかり) にかけられ、身長と体重の割合が一致せず軽いと判断されると、魔女として処刑されていたのです!
その魔女裁判で使われていた計量所が、オランダのアウデワーターという小さな町に存在しています。
🔵この記事で紹介する主な内容とは、
それでは、知られざるオランダの超穴場的な場所について、お伝えしていきます。
※2023年2月8日 更新
魔女の計量所・博物館
Museum de Heksenwaag
魔女の計量所があるのは、ユトレヒトとゴーダの中間に位置している、アウデワーター(Oudewater) という小さな田舎町。
博物館として公開しているこの建物は、1482年に建てられチーズや穀物などの農産物を計量する場所でした。
しかし、中世後期になると魔女を判断する手段として、人の体重を計量することに使われました。
まず博物館に入ると、魔女の人形がお出迎え!
一瞬「ギョッ」と驚くかもしれませんが、お化け屋敷ではないので...😅
これが魔女を測る秤で、1482年から使われていたオリジナルなもの!
片方に人が乗り、反対側に重りを載せて計量します。
かなり年期のある秤です!
中央部分のへこみを見ると、ここに数多くの女性が乗っていた事が伝わってきますね。
博物館に訪れた人は、男女問わず誰でも測ってもらえるので、ぜひ体験してみませんか!
こちらは計量で使われる重り。
博物館のスタッフは徐々に重りを載せていき、バランスの取れたところで重さを告げます。
驚くことに、体重はほぼ一致していました!
しかし、体重を気にする女性にはチョット...(赤面も覚悟で!)
計量が終わると、当時のように証明書を発行してもらえます。
当時の重さの単位は「キログラム」でなく「ポンド」で表していたので、証明書にもポンドで書かれます。
観光用ですが、立派な紙を使っているので、お土産には良いと思いますよ!
証明書の大きさはA4サイズなので、シワにならないように持ち帰るのでしたら、ファイル入れなどを用意しておくといいでしょう!
秤のすぐ側には、当時の身長を測る道具も置いてあります。
2階は展示室となっており、当時の資料や魔女裁判の歴史を短い動画で紹介しています。
ただし、動画はオランダ語と英語での解説。
受付では €1ユーロで小さなガイドブックも販売しています。
オランダ語だけの説明ですが、写真もたくさん掲載されているので、記念に持ち帰るのもいいかと思いますよ!
お土産には、魔女の人形やアクセサリーなどがたくさんあります。
こちらは博物館の入り口ですが「魔女」ということで、竹のホウキが置いてありました!
それでは次に「魔女裁判」とは一体何なのか、簡単にお伝えします。
【魔女裁判】なぜ体重の計量が行われていたのか?
中世の人々は宗教的で悪魔を恐れ、魔女は悪さをして病気を広めたり、悪天候を引き起こすなどと信じられていました。
魔女はホウキに乗って空を飛べることから、体重は軽いと思われていたのです。
そして、魔女を判断する方法として、体重の計量が行われました。
ヨーロッパの各地には計量所があり、疑わしい女性は体重を測ることになりました。
そして、身長との割合に対して軽いとみなされると、魔女として処刑されてしまったのです。
実際には多くの計量所で仕掛けが施されるなど、罪のない数多くの人が犠牲になっていました。
そのことを目撃した皇帝のカレル5世 (Karel V) は不信に思い、このアウデワーターで再度計量し、正常であることが分かり無罪が証明されてきました。
皇帝はこの場所に体重を測る権限を与え、計量した人に公式の証明書を発行しました。
それからは、ヨーロッパの各地で魔女と告発された人たちは、アウデワーターに出向き魔女でない証明書を手にして、疑惑を晴らしたのです。
アウデワーターでの魔女裁判は、18世紀初頭まで行われていましたが、ここで計量した女性は、だれ一人とも有罪にはなっていません。
...という歴史が、ここにはありました。
言い換えれば、正義の計量所でもありますね!
ちなみに、オランダの国王であったユリアナ女王は1952年に、ベアトリクス女王も1972年にアウデワーターに訪れ、体重を測り魔女でない事を証明していました。
博物館への行き方
博物館へ行く方法はあまり便利ではないので、順を追って説明していきます。
① 鉄道でウールデン駅 【Woerden】 へ
- アムステルダムから:直通の各駅停車「Sprinter」で約40分
- ユトレヒト経由:乗り換えも含めて約50分
駅の改札は、5〜6番線側の「Zuidzijde」へと向かいます。
② ウールデン駅からバス505号線を利用
改札を出たらすぐ右側にバス停があります。利用するのは小さなミニバスで、行先は「Ijsselstein」
帰路は「Woerden」行きに乗ります。
バス券は運転手から購入できますが、現金でなくカード決済のみ。
詳しくは、英語ですがこちらのホームページから参照できます。
交通機関専用のカード・OV-chipkaart については、こちらで解説しています。
③ バス停:J.J. Vierbergenweg で下車
※以前、最寄りの停留所は「Centrum Noord」でしたが、ルート変更により別のバス停からのアクセスとなります。
バスの所要時間は約15分。
停留所から魔女の計量所 (博物館) まで、徒歩で約8分です。
《地図はバス停から博物館までの道のりです。》
博物館は、運河沿いの小さな広場に面したところ。
バスを利用する際の注意点!
バス車内では、アナウンスや案内板もありません。
降りる場所の検討がつきませんので、バスの運転手に降りる場所を告げておくといいでしょう。
もしくは、Google map のアプリを見て、位置を確認する方法もあります。
行きも帰りもバスは1時間に1本なので、あらかじめ発車時間を調べておく事をオススメします。
こちらのアプリを使えば、運行時間が検索できます。
博物館の詳細
◾️開館時間
- 4月2日~10月31日:火~日曜日、11:00 ~ 17:00 (7〜8月は月曜日もオープン)
- 11月1日~4月1日:土・日曜日、11:00 ~ 17:00
◾️入場料
- 大人:€7.5
- 4~11歳: €3.5
- 3歳以下:無料
✅ この博物館はミュージアムカードにも対応しています。カードを所有していれば、入場料は必要いりません。
◾️住所
Leeuweringerstraat 2, 3421 AC Oudewater
おわりに
いかがでしたか、オランダにある「魔女の計量所」
このような出来事が過去にあったとは、想像もつかないことでしょう!
アウデワーターの博物館に来れば、ヨーロッパでの魔女裁判についての歴史を知ることができ、当時と同じ方法で体重を測る体験もできます。
オランダの知られざる穴場を探しているのでしたら、オススメの場所です!
こちらは、アウデワーターの町から近い所でのイベント情報です。