中世のオランダにはハンザ同盟都市がいくつかありますが、今回お伝えするのはその中のひとつ「デフェンター」
Deventer
1600年以前の歴史的な美しい建物が数多く残り、オランダで5つの中に入る最も古い都市のひとつ。
そんな歴史のある美しきデフェンターの見どころを、街歩きした様子を通じてお伝えしていきます。
デフェンターの街歩きはブリンク広場から
Brink
中世のハンザ同盟都市のひとつで、美しい街並みが今に残るデフェンター。
最寄りのデフェンター駅から歩いて来ると、まず目に飛びこんでくるのがこの光景「ブリンク広場」
大きく開けた広場の奥には、中世を思い起こすような建物と、周りにはたくさんのカフェ・レストランが立ち並んでいます。
周囲にあるレストランのテラスに座って、この美しい空間を眺めながら昼食をとったり、カフェでリラックスするのも最高!
週末には、広場いっぱいに屋外マーケットが開催。
- 金曜日マーケット:8:00 ~ 13:00
- 土曜日マーケット:9:00 ~ 17:00
それ以外の日でも、たまにイベントが行われる場合もあります。
◾️地図の表示
ブリンク広場のウィルヘルミナ噴水
Wilhelminafontein
ブリンク広場にある噴水は、かつてのオランダ女王「ウィルヘルミナ」の就任を記念して、1898年に設置されました。
この場所はデフェンターにおけるランドマークのひとつでもあり、待ち合わせスポットにも選ばれています。
(昨日の続き)
— アルト・オランダ (@Artoshack) May 17, 2021
🇳🇱デフェンターの大きな広場にある噴水⛲
Wilheminafontain
いろんな所から水が出てます‼️ pic.twitter.com/ogmklYfhL9
輝いた彫刻から水が噴き出していて、とても涼しげな感じの噴水です。
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ブリンク広場のレストランでランチ
この日は、広場周辺にあるレストランのひとつ、「Grand Café Samen」でランチをいただきました。
お昼とはいっても、混み出すのは13時以降なので、少し早めに席につきました。
ここでひとつ、オランダでよく見かけるメニューを紹介します!
Uitsmijter
こちらは、俗に言うオランダ版の目玉焼き「アウトスマイター」
ほとんどのレストランにあるメニューで、パンの上に卵を2〜3個載せた目玉焼き。
野菜も添えられてあり、トッピングにハムやチーズ、ベーコンなどが選べ、ブラウンか白いパンを選択できます。
デフェンターの観光案内所
VVV-Deventer
16世紀に建てられた、美しいルネッサンス様式のファザードの建物の中にある、デフェンター観光案内所。
街の見所や観光に関する情報が得られるだけでなく、地元ならではのお土産も取りそろえてあります。
無料ではありませんが地図付きのガイドブックや、ウォーキング・サイクリングルートなどの案内も手に入ります。
◾️営業時間
火〜土曜日 10:00 ~ 17:00 / 日~月曜日 11:00 ~ 16:00
◾️地図の表示
案内所の中では、中世の頃の地図を展示しています。
このように、ハンザ同盟で栄えたデフェンターは、城塞都市であったことが分かりますね。
デフェンター伝統のお菓子
Deventer Koek Bijtje
観光案内所には何百年も前から作られている、デフェンター伝統のクッキーを販売しています。
このお菓子の歴史は、1471年に言及されていたとか。
名前はクッキーですが、ハチミツやシナモンなどが加わった、ジンジャーブレッドのようなのお菓子。
デフェンター伝統のお菓子を味わってみたいのでしたら、是非お試しを!
カステラのような大きなものから、ひと口サイズに袋詰めされた小さなもの、彫刻が同封されたものなどが売っています。
この後にお伝えする専門店「JB Bussink」でも販売していますが、日・月曜日はお休みなので、その際にはこちらの観光案内所で手に入ります。
必見!観光案内所の裏にある隠れ教会
観光案内所の奥に進むと、ここには何と隠れた教会が存在しているのです!
建物の外観からは、教会があるとは想像がつきません。
オランダは中世の宗教改革で、カトリック教徒が公の場で集まることを禁止されていた時期がありました。
しかし、人々はこのような場所を築いて密かに集まっていたのです。
ちなみに、アムステルダムにも「屋根裏教会」という場所があり、現在は博物館として見学ができます。
隠れ教会とはいえ立派なパイプオルガンもちゃんと備えてあります。
このホールは音響効果に優れていることから、音楽のレコーディングにも使用されているそうです。
教会の見学は、観光案内所の営業中のみ訪問が可能。
デフェンター伝統のお菓子・専門店
JB Bussink
先にお伝えした、デフェンター伝統のクッキーを販売している専門店。
Deventer Koekとは一般的な名前で、1800年代にJacob Bussink氏がベーカリーを設立し、Bussinkとはブランド名。
昔ながらのレシピで、伝統のクッキーを作り続けている唯一のベーカリーです。
1850年に建てられたこの家には、ショップとティールーム、そしてテラスもあり、お茶しながらデフェンタークッキーも味わえます。
観光案内所でも取り扱っていますが、こちらのお店なら豊富な品揃えで、色んなギフトが見つけられますよ!
◾️営業時間
ショップのみ:火曜日 11:00 ~ 17:00
ショップとティールーム:水〜土曜日 10:00 ~ 17:00
◾️地図の表示
オランダ最古の計量所【ミュージアム】
De Waag
オランダには「ワーグ」という名の建物が、数多くの都市に存在しています。
その中でも、ここデフェンターの建物はオランダで最も古いもの。
- 建築:1529〜1531年
過去に何度も修復工事を経て、美しい状態を現在に保ち続けています。
ワーグとはオランダ語で「計量所」を意味し、中世の頃に商品の計量が行われ、これによって市は税金を徴収していました。
1915年以降は、デフェンターの歴史を紹介しているミュージアムとなっています。
◾️参考記事:オランダには「魔女の計量所」というものも存在していました。
詳しくは、こちらの記事でお伝えしています。
建物全体が展示スペースになっており、ハンザ同盟都市として繁栄していた頃の資料や、銀細工、絵画など数多くのコレクションを展示。
絵画の中には、昔のころの計量所を描いた作品も見られます!
建物を今と見比べると、中世の頃とほとんど変わっていないですね。
Burgers Deventer
産業においては、オランダで最も古い自転車工場「ブルガース」が、デフェンターにありました!
1868年に最初の自転車を作ったのが始まりで、翌年に工場を設立。
つまり、オランダの自転車の原点 (生産) は、ここデフェンターなのです。
◾️営業時間
火〜日曜日 11:00 ~ 17:00
◾️入場料
19歳以上 €9 / 3~18歳 €2.5 / 2歳以下 無料 / ミュージアムカード 無料
◾️地図の表示
オモチャ博物館【オランダで最大規模】
Speelgoedmuseum
1850年から現在に至るオモチャのコレクションを、13,000点以上も所有しているオランダ最大規模の博物館。
おそらく興味深い博物館だと思いますので、ぜひともお伝えしておきます。
(スライド写真)
コレクションには、ブリキのおもちゃ、模型の家や家具、人形、ミニカー、ローラースケート、ラジコン、日本のゲーム機など様々。
鉄道模型を走らせている部屋や、体験できるコーナーもあります。
ピンボールやパックマンなどの大型ゲーム機は、実際にプレイすることも可能。
小さな子供が楽しめるのはもちろん、大人でも昔に遊んだことのあるオモチャが見つけられるかも知れませんよ!
◾️営業時間
火〜日曜日 11:00 ~ 17:00
◾️入場料
19歳以上 €7.5 / 4~18歳 €4 / 3歳以下 無料 / ミュージアムカード 無料
◾️地図の表示
美しくユニークな街の通り【ワルストラート】
(スライド写真)
Walstraat
工芸品やアクセサリー、アンティーク商品、ハウスガーデン用品、おもちゃ屋などが立ち並ぶ、美しくユニークな街の通り。
カフェやチョコレートなどのお菓子屋さんもあります。
掘り出し物を見つけられるかもしれないので、ちょっと時間を費やして見回るといいですよ!
◾️地図の表示
窓から脱走する女性!?
Oude Vrouwengevangenis
この通りの一角に、ロープにぶら下がっている女性が...!
実はこれ人形で、この建物はかつての刑務所でした。
...ヒューモアというか何というのか😅
以前、フェスティバル (Dickens Festijn) が行われた時に、通りの装飾として人形が飾られ、それ以来ずっとこの場所にあるそうです。
この建物は、英国の有名な作家「チャールズ・ディケンズ」(Charles Dickens) のコレクションを集めた、小さな博物館にもなっています。
ただし、オープンするのは土曜日の12:00〜16:00の間のみで、見学は€2ユーロ。
◾️地図の表示
聖ニコラス教会
Sint. Nicolaaskerk / Bergkerk
先ほどお伝えした、ワルストラート (Walstraat) の終わりに位置するのが、この聖ニコラス教会。
またの名をベルグ教会 (Bergkerk) とも言います。
(この画像は、別の通り (Bergstraat) から撮ったたもの)
- 建築:1198~1209年
- ロマネスク様式
- 15世紀〜ゴシック様式建築に改修
- 宗派:1580年以降プロテスタント
大きな教会ではありませんが、白い内装でとても明るいのが特徴的。
パイプオルガンは1841〜1843年に建てられたもので、150年以上の歴史があります。
宗教改革でプロテスタントの手に渡り、壁は真っ白に塗られてしまいましたが、部分的に13世紀ロマネスクの壁画を見ることができます。
入場は無料なので、通り掛かった際には見学してみるのもいいでしょう!
◾️教会の営業時間
火〜日曜日 11:00 ~ 17:00
◾️地図の表示
聖レブイヌス教会
Lebuinuskerk
デフェンターの街で、一番大きな歴史的建造物の聖レブイヌス教会。
- 建築:1450 ~ 1525年
- ゴシック様式建築
- 塔の高さ:62.5m
この教会建築は15〜16世紀に建てられたもので、かなりの大きさがあります。
私が訪れたのは日曜日でしたので、教会はオープンしていませんでした。
もし訪れる機会があれば、是非とも立ち寄ってみたいスポットのひとつ。
なお、教会の見学は無料です。
◾️教会の営業時間 (月〜土曜日)
4月1日〜10月31日:11:00 ~ 17:00
11月1日〜3月31日:11:00 ~ 16:00
🇳🇱デフェンターの教会
— アルト・オランダ (@Artoshack) September 7, 2021
St. Lebuinuskerk
(🇯🇵レブイヌス教会とでも言うのかな🤔)
時報の前に鳴るカリヨンです🔔🎵🎶 pic.twitter.com/kTxeomMteU
教会の塔にあるカリヨンからは、15分おきにメロディーが聞こえてきます。
街に響き渡る美しい音色は、なんとも心地良いですよ!
この教会の周りにもカフェやアイスクリーム屋さんがあるので、一息入れるにはちょうど良い場所です。
期間限定ですが、教会の塔に上って街を見渡すこともできます。
展望台は、ちょうど時計の上に位置したところ。
- 展望台の高さ:46m
- 階段の数:220段
塔の入場チケットは、教会内で販売しています。
◾️塔の営業時間
7月1日〜8月31日:毎日 12:00 ~ 16:00
4〜6月、9〜10月:土曜日 13:00 ~ 16:00
◾️塔の入場料
13歳以上 €3 / 12歳以下 €1
◾️地図の表示
2つの異なった建物の旧市庁舎
聖レブイヌス教会の向かい側にあるのが、17世紀に完成した2つの異なった建物の旧市庁舎。
左側の建物の起源はさらに古く、14世紀には街の宿として存在していたらしく、17世紀になってルネッサンス様式に改装されました。
現在では、結婚式会場として旧市庁舎が使われています。
◾️地図の表示
街歩きしながらアートを見つける!
扉の上の窓にオウムが...⁉️
一瞬、本物の鳥がいるように見えてしまうかもしれません。
これはファザードの装飾の一部で、カッティングウィンドウ (Snijraam) という彫刻。
◾️地図の表示
(スライド写真)
デフェンターの街には、カッティングウィンドウのアート以外にも、素敵な彫刻の看板などもぶら下がっています。
中にはとてもユニークな物もあるので、街歩きをしていると色んなものが見つけられますよ!
橋からデフェンターの街を展望
Wilhelminabrug
街のすぐ近くに架かるウィルヘルミナ橋からは、アイセル川沿いのデフェンターの街が展望できるオススメのスポット。
階段を上がっていくと、眺めの良いスポットに‼️
— アルト・オランダ (@Artoshack) May 18, 2021
(展望台ではありません😅)
🇳🇱Deventer pic.twitter.com/SdRn2tbqcI
橋の上には、川沿いの道路から階段でアクセスできます。
橋は車道と歩道に別れているのですが、走ってくる自転車には気をつけてください。
◾️地図の表示
デフェンターへの行き方
最寄り駅:Deventer
- アムステルダムから
- 直通のインターシティ:約1時間10分
- インターシティの乗り継ぎ:約1時間20〜30分
- デフェンター駅からブリンク広場まで:徒歩 約8分
紹介したスポットの地図
最後に
デフェンターはマイナーな都市かも知れませんが、オランダの深い歴史が存在しています。
大都市のように忙しい街ではないので、マイペースでゆっくりと美しい街並みを散策するのが一番のオススメ。
そして、かつてのハンザ同盟都市の雰囲気も味わえることでしょう!