オランダでは年末に近づくと、クリスマスとは別にシンタクラースというお祝い事があります。
それに先立ち、11月中旬になるとシンタクラースがオランダに到来して、各地でパレードが開催されます。
この記事で紹介する内容とは?
2019年にアムステルダムで行われたパレードの様子と、シンタクラースについても簡単にお伝えしていきます。
※2023年9月10日 更新
シンタクラースとは何?
Sinterklaas
毎年12月5日になると、シンタクラースというオランダの伝統行事があり、この日になると子供たちは、クリスマスのようにプレゼントをもらえるのです。
それに先立ち、11月にはシンタクラース到来のイベントが行われます。
では、そのシンタクラースとは?
「聖ニコラス」を意味します。
Sinterklaas (オランダ語) = Saint Nicholas (英語)
シンタクラースとは、1850年にアムステルダムの「ヤン・シェンクマン (Jan Schenkman)」の絵本によって作られた話が由来となっています。
様相は、白く長い髪とヒゲを生やして、赤いマントを身にまとい、頭には赤くとんがった帽子をかぶっています。
そして、「アメリゴ」と呼ばれる白馬に乗って登場します。
このお話の起源になっている聖ニコラスとは、古代都市マイラ (現在のトルコ) の司教で、342年12月6日に亡くなりました。
彼は若い頃から奇跡を起こしたという伝説があり、子供の守護聖人とも言われています。
彼の命日は12月6日ですが、オランダでは前夜祭の12月5日にお祝いをします。
つまり、クリスマスイブと同じようなものですね。ちなみに、ベルギーでは12月6日にお祝いをします。
彼には、ズワルト・ピート (Zwart Piet) という黒人のお供がいて、お菓子やプレゼントを持ってきます。
ズワルトピートに関して由来するものは明らかではなく、様々な説が伝えられてます。
イベントでは黒塗りした顔で登場していましたが、これが近年になり差別問題となってしまい、現在では「煙突の煤で汚れた顔」ということで、顔全体を黒塗りしてはいません。
このお話では、シンタクラースとズワルトピートたちは、スペインから汽船に乗ってオランダへと来航します。
この後お伝えするパレードでも、実際に汽船で街にやって来るのです!
上陸したシンタクラースは12月5日まで滞在して、オランダ各地の家庭や学校を訪れます。
シンタクラースのパレード
アムステルダムでのシンタクラース到来日
2023年11月19日 日曜日
アムステルダムにおけるパレードのルートは、こちらから (オランダ語・地図有り) 参照できます。
シンタクラース到来のパレードは、毎年11月中旬の土曜日に行われますが、アムステルダムやユトレヒト、ハーレムなどの都市では日曜日に開催。
デルフトなど一部の街では、1週間後に開催される場合もあります。
① 汽船に乗ってやって来る
シンタクラースとピートたちは、アムステルダムの川と運河を船でパレードしながらの到来。
早めに着ていると、跳ね橋が開くところが見られますよ!
順番が逆ですが、シンタクラースが来る前に橋が上がります❗
— アルト・オランダ (@Artoshack) November 17, 2019
アムステルダム🇳🇱 pic.twitter.com/ZpX0n3s6ut
シンタクラースを乗せてくる船は Pakjesboot-12 と呼ばれる汽船で、スペイン (SPANJE) と記されています。
シンタクラース
— アルト・オランダ (@Artoshack) November 17, 2019
到来!
🇳🇱 pic.twitter.com/RECmXJ7xaB
アムステルダムでは、汽船を含めておよそ8艘ほどが来航。
船の中では、音楽と共にダンスをしたり手を振ったりするピートたち!
今回のルートは、マレーの跳ね橋があるアムステル川を経由して、エルミタージュ美術館前の運河を曲がり、国立海事博物館 (Scheepvaartmuseum)へと向かいました。
② 街中のパレード
国立海事博物館からは、アムステルダムの繁華街を大パレード!
市内中心部を通って、ダム広場へと向かいます。
音楽に合わせて大勢のピート達は、パフォーマンスをしながらの大移動!
いろんな飾りつけをしたパレード車が、お目にかかれます!
ピートはペパーノート (Pepernoot) というお菓子を、子供たちに配ります。
このズワルト•ピート、要注意!
— アルト・オランダ (@Artoshack) November 17, 2019
粉をかけられます😂 pic.twitter.com/mB849ecsbS
中にはペパーノートを見物人の頭の上に載せたり、上着のフードにゴッソリ入れたり、小麦粉のような白い粉を投げかけたりしますが、そこはご愛敬!
私も首の中にお菓子を入れられてしまいました!
このペパーノート (又はクラウデンノーテン) という茶色のお菓子は、スパイス入りの小粒なクッキーで、シンタクラースの時期によく食べられます。
(キャンディーも少し混じっていることもあります。)
パレードの最初の頃ですが、みかんも配られていました!
プレゼントの箱をいっぱいに積んだ馬車も登場!(おそらく中身は空っぽです)
音楽バンドも演奏しながらのパレード!
そして、最大のお目当ては、白馬に乗ってくるシンタクラース!
シンタクラース様のお通り! pic.twitter.com/SalVBWlMeK
— アルト・オランダ (@Artoshack) November 17, 2019
子供たちは、一目見ようと待ち構えています。
運が良いと握手してくれたり、軽く手を合わせてもらえます!
混雑なくパレードを見るコツ!
パレードの終点であるダム広場 (Dam) からロキン (Rokin) 〜ムント広場 (Muntplein) 〜レンブラント広場 (Rembrandtplein) にかけては、写真 (下) のように大変混雑します。
最前列に並ぶには早めに場所を確保した方がいいですね。
一番のオススメは、パレードが始まる地点の近く!
その辺りでは、見学できるスペースが十分にあり、さらにパレードがその地点を通過しても、ダム広場の方に移動すれば、再びパレードを見ることができます。
パレード当日のルートは、こちらのWebサイトから見つけられます。
③ 最後はダム広場
ダム広場では特設ステージが設置されて、シンタクラースが到着する前からイベントが行われています。
パレードはダム広場で終了となりますが、シンタクラースもステージに上がりお話をします。(オランダ語ですが...)
そして、歌やダンスなどのイベントが引き続き行われます。
12月5日はシンタクラースの日
12月5日は、子供たちにとってプレゼントをもらえる特別な日。
シンタクラースは、学校や家庭にも訪れプレゼントを配りますが、こんな言い伝えもあります。
『良い子供にはプレゼントが渡されますが、悪い子は袋の中に入れられてスペインに連れて行かれてしまいます... 』
シンタクラースを信じる小さな子は、プレゼントをもらうために願いを書いた手紙と、ニンジンを入れた靴を暖炉の近くに置きます。
ニンジンは、シンタクラースが乗ってくる白馬のためです。
そして、次の日の朝になるとお菓子などのプレゼントが、靴の中に入っているのを見つけ、子供は大喜び!
実際には、クリスマスと同じように親が用意するのですが、昔からの伝統が今でも続けられているのです。
子供に限らず、大人同士でも小さなパーテイーを開いて、プレゼント交換を行っています。
もう、気が付いたかと思いますが、サンタクロースと似てるところがありますね!
実はサンタクロースの起源となったのが、このシンタクラースなのです。
これは主に子供たちへの伝統行事ですが、パレードでは年齢を問うことなく、観光に来た人も一緒に楽しめるイベントになっています。
オランダの小さな子供たちは、4〜6歳くらいまでシンタクラースの存在を信じているようです。
しかし、事実が分かってもこの時期になると、みんなでお祝いして楽しく過ごすというオランダの良い風習ですね。
最後まで、ご購読ありがとうございました。
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