夏を終えようとする2020年8月の終わりに、オランダ最南端に位置した都市「マーストリヒト」(Maastricht) を、1日で街巡りしてきました。
マーストリヒトといえば、ナイメーヘン (Nijmegen) と共に、オランダ最古の都市と言われ、歴史的にも貴重な建築物が存在しています。
【マーストリヒトにある主なもの】
- 世界で最も美しい書店:ドミニカネン
- 水車と地元の名物スイーツ:フラーイ
- オランダ最古の教会:聖セルファース大聖堂
- オランダ最古の門:地獄の門
今回は、マーストリヒトの中心部に焦点を当て、街歩きの様子を通じて見どころを紹介していきます。
街巡りはマーストリヒト駅から
Maastricht Station
街巡りの出発点となるのは、マーストリヒト駅から。
(今回訪れた時は駅舎の外装工事中だったので、過去の写真を載せておきます)
マーストリヒトに鉄道が開通したのは1853年ですが、この駅舎がオープンしたのは1915年のこと。
国定記念碑にもなってる駅舎の中央ホールには、合計で20枚以上のステンドグラスがあるので、ぜひ注目を!
こちらは、1839年にオランダで最初の鉄道が開通してから、100年を記念して作られたタイル画の記念碑。
アムステルダムからの移動時間は、直通の列車「インターシティ」で、約2時間半。
ちなみに、この駅に改札はないので、切符か OV-Chipkaart を持っている場合には、チェックイン・チェックアウトを忘れずに!
参考記事 使い方簡単!切符の代わりになるオランダの【OV-chipkaart】を解説
マース川に架かる聖セルファース橋
Sint Servaasbrug
マーストリヒト駅から旧市街地に行くには、マース川に架かる聖セルファース橋を渡ります。
- 建築:13世紀
- 全長:190m
聖セルファース橋は、オランダで最も古い石橋ですが、実際には過去に何度も修復や破壊、再建を繰り返してきました。
この橋は歩行者と自転車だけが通行でき、一部は大きな船が通るための可動部分になっています。
素晴らしい景色が眺められるスポットなので、記念写真でも!
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ミッフィー専門店 (2021年閉店・移転)
マーストリヒトにあったミッフィー専門店は、2021年をもって閉店となりました。
なお、新しい店舗はデン・ハーグの近くにある「Westfield」というショッピングモールに移転しました。
マース川のボートツアー
Rondvaart op de Maas
オランダの都市では運河クルーズが定番ですが、マーストリヒトではマース川を大きなボートで遊覧するツアーがあるのです!
こちらが、マース川を遊覧する船。
運河クルーズの船とは違い、わりと大きな船で2階建。
そして、後方はオープンデッキ。
今日も良い天気になりました😊
— アルト・オランダ (@Artoshack) August 22, 2020
マーストリヒトでのボートツアー⛴
船内でゆったりとカプチーノをいただきます😋
🇳🇱 Maastricht pic.twitter.com/rVjjUF1bge
ボートツアーの所要時間は約50分で、船内では英語のガイドアナウンスが聞けます。
出港してしばらくすると、スタッフが飲み物の注文を聞いてくるので (ボートツアーとは別料金)、ドリンクを飲みながらのクルージングが楽しめますよ!
私は、カプチーノをいただきました😋
🇳🇱マーストリヒトのボートツアーでは、英語のガイドアナウンスも流れています。
— アルト・オランダ (@Artoshack) September 14, 2020
船内の様子です👀🤗 pic.twitter.com/rDkosCOEWD
このボートツアーは聖セルファース橋を出発して、ベルギーの国境近くまで行って戻ってくるだけですが、マース川からしか見れない景色が楽しめるのがポイント!
こちらが、チケット売り場の窓口。
船乗り場の前にあるので、すぐに見つけられます。
週末や祭日になると混雑する可能性があるので、早めに並んでいた方が無難です。
私は、念のために船が出港する30分前に来て並びました。
仮に、すぐのツアーが定員で利用できなくても、後で出発するツアーを予約しておいて、街巡りしてから戻ってきて乗船するという方法もありますね。
もし、ボートツアーに乗ってみたいのでしたら、街巡りする前に窓口へ訪れておくのがオススメ。
確実なのは、オンラインで事前に予約を!
ボートツアーは毎時00分に出航しますが、月毎に運航スケジュールが異なるので、詳細はウエブサイトを参照してください。
◾️ボートツアー料金
13歳以上 € 12 / 4〜12歳 €6.5
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世界で最も美しい書店【ドミニカネン】
Boekhandel Dominicanen
マーストリヒトに来たら絶対に見ておきたいのが、「世界で最も美しい書店」のトップ10に選ばれた「ドミニカネン書店」
中世の修道院教会を改修した建物なので、天井には当時のフレスコ画が見られます。
🇳🇱マーストリヒトの美しい書店。
— アルト・オランダ (@Artoshack) August 22, 2020
Boekhandel Dominicanen
そういえば、ミッフィーのキーホルダーもあった‼️ pic.twitter.com/fPH2n8oxWZ
本を買う目的がなくても、建物の中を一眼見ようと訪れる人はたくさんいます。
私も本を買わずに、入店してひと回りしてきました。
ドミニカネン書店については、こちらの記事でお伝えしていますので参考に!
参考記事 マーストリヒトとズウォレにあるオランダの美しい書店
2020年現在は、コロナ禍で入店者数に制限を設けています。
もし、入り口で並んでいても、さほど長く待つことはありません。
入店には、入り口に用意してある消毒液で手を消毒してから、買い物カゴを持って店内に入ります。(買い物をしなくてもカゴを持つのが決まり)
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マルクト広場と市庁舎
Markt
マーストリヒトには2つの大きな広場があり、そのひとつが旧市庁舎のある「マルクト広場」
ほとんどの場合、オランダでは土曜日にフリーマーケットが開催されますが、ここマーストリヒトも同様です。
- 土曜日・マーケット開催時間、10:00 ~ 18:00
市庁舎を取り囲むようにたくさんの屋台とテントが立ち並び、食品や花、衣類、アクセサリーなどがありますが、ここでは蚤の市のように、芸術品やアンティークな品物もたくさん置いてあります。
フライドポテトやチュロス、そして、季節によってはオリボーレン (オランダのドーナッツ) を売っていることもあるので、食べ歩きも楽しめます!
Stadhuis van Maastricht
広場の真ん中にあるのは、マーストリヒトの「旧市庁舎」
- 建築:17世紀
そして、市庁舎の塔には49個から成るカリヨンの鐘があり、15分毎に自動で鳴ります。
現在、コロナ禍の影響で自由に立ち入って見学することはできません。
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フライトホフ広場と2つの教会
Vrijthof
マルクト広場とは別に、もう一つあるマーストリヒト最大の広場が、こちらの「フライトホフ」
広場の周りにはたくさんのレストランが立ち並んでいるので、食事のスポットにも最適です。
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年末になると、この広場で約1ヶ月間に渡って、クリスマスマーケットが開催!
参考記事 【マーストリヒト】クリスマスマーケットの楽しみ方!
オランダ最古の聖セルファース大聖堂
Sint Servaas Basiliek
フライトホフ広場には2つの教会が隣り同士に立ち並んでいて、右側に見えるのが「聖セルファース大聖堂」
- 建築:6世紀〜
- ロマネスク様式建築、後にゴシック、バロック様式
- 宗派:ローマカトリック
マーストリヒトのハイライトのひとつでもある、オランダで最も古い教会!
こちらが教会の名前にもなっている聖セルファース司教で、マーストリヒトの守護神。
教会内の一部は無料で見れますが、入場料を払うと教会の中庭や、金銀などのお宝物が保存されている展示室の見学もできます。
教会の中庭は、こんな感じです。
◾️見学時間
月〜土曜日 10:00 ~ 17:00 / 日曜日 12:30~ 17:00
◾️入場料
19歳以上 €4.5 / 18歳以下 無料 / 65歳以上 €3
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赤い塔の聖ヤン教会【Sint. Janskerk】
聖セルファース大聖堂のすぐ隣にあるのは、赤色の塔が印象的な「聖ヤン教会」(又は、聖ヤンス教会)
- 建築:14〜15世紀
- ゴシック様式建築
- 宗派:プロテスタント
当時は聖セルファースの巡礼と、マーストリヒトの地区教会として機能していました。
塔の高さは約80mで、多孔質の石を雨から保護する目的で、赤色にペイントされています。
18世紀のはじめは黄色で、19世紀の初頭は白い色だったそうです。
そして、1980年代の修復作業で中世の頃と同じ真っ赤になりました。
当初の赤色の原料には、牛の血も含まれていたそうです!
今現在 (2020年) はコロナ禍のために閉鎖され見学ができないので、以前に訪れたときの写真がこちら!
通常ならば教会内の見学と、赤い塔に上ることもできるのですが...
コロナウイルスが終息したら、再び見学できるようになるでしょう。
◾️営業時間
月〜土曜日:11:00 ~ 16:00
◾️入場料
教会:無料 / 塔:大人 €2.5、子供 €1.5
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カトリックの聖母教会
Onze Lieve Vrouwebasiliek
さて、次はフライトホフから少し離れた所に位置した、聖母教会に来ました。
- 建築:11世紀
- ロマネスク様式建築
- 宗派:ローマカトリック
まずは、とても印象的なのが教会の入り口に設置されている祭壇とマリア像。(マリア・チャペル)
ロウソクがたくさん灯されていて、ヨーロッパ各地から訪れている観光客がお祈りをしています。
ロマネスク様式建築の特徴でもある小さな窓なので、教会内は薄暗いですが、内陣には照明が灯されているので、装飾をはっきりと見ることができます。
聖セルファース大聖堂と共に、歴史の深い建物なのでお見逃しなく!
◾️見学時間 (毎日)
教会 8:30 ~ 17:00 / マリア・チャペル 8:00~ 20:00
入場:無料
◾️地図の表示
聖母教会裏の美味しいアイスクリーム店
Gelateria Luna Rossa
聖母教会の裏に、美味しいアイスクリーム屋さんがあるので、お伝えしておきます。
このお店では、イタリアン・ジェラートを販売していて、行列ができるほどの大人気!
一見、何かのアートのようにも見えるジェラート!
陳列ケースは本場イタリアからの輸入というこだわりもあり、高品質のジェラートが食べられます😋
エスプレッソなどのイタリアンコーヒーもあるのですが、夏の温かい日でしたので、やはりお目当てはジェラート!
◾️営業時間
11:00 ~ 21:00 (毎日)
◾️地図の表示
お店の向かい側には、こんな銅像があるので、となりに座ってジェラートをいただきました。
この少年は小説に登場する人物だそうで、手に持っているのは石鹸だとか!
ビスコップスモルン【水車】
Bisscopsmolen
オランダといえば風車ですが、ここマーストリヒトでは水車が有名!
🇳🇱マーストリヒトの街中を流れる水路を利用したビスコップスモルン(水車)
— アルト・オランダ (@Artoshack) August 23, 2020
Bisschopsmolen pic.twitter.com/iGoKSFkH6W
ビスコップスモルンの水車は、聖母教会からすぐの所に位置しています。
水車は小麦粉を挽く動力として使用され、その粉でパンや地元名物の「フラーイ」(Vlaai) というパイを作っています。
水車小屋と併設したベーカリーとカフェには、たくさんのフラーイが店頭に並んでいて、お店の前の通りからでも見れます。
カフェでは食事もできますが、お昼時は順番待ちするので、少し時間をずらして来た方が、すんなりと入店できるでしょう。
🇳🇱マーストリヒト
— アルト・オランダ (@Artoshack) August 22, 2020
ビスコップスモルン
Bisschopsmolen
水車で挽いた小麦粉を使って作る、リンブルグ名物の「フラーイ」
今日は、あんず入りをいただきます😊 pic.twitter.com/lEubu8qKp2
私は以前に、チェリー入りのフラーイを食べたことがあるので、今回はアンズ入りをいただきました😋
◾️営業時間
火〜土曜日 8:30 ~ 17:00 / 日曜日 9:30 ~ 17:00
◾️地図の表示
もし、興味があるのでしたら月に2回、ワークショップが行われているので、自分でフラーイを作る体験ができます。
- 料金:1人 €27.5
- 所用時間:約2時間
- 開催日程:第1・第3土曜日、10:00 ~ 12:00
予約は、ホームページから申し込み (オランダ語のみ)、確認ができるとEメールが送られてきます。
もう一つの水車【ライオンの水車】
Leeuwenmolen
ここでもうひとつ別の水車を紹介しておきます。(地元のガイドブックにも載っていません)
かつて、この水車も小麦粉の製粉所として使われていましたが、20世期中頃にその機能を終え、現在は記念碑のように残されているだけです。
水車は回転していませんが、ひっそりとした場所にある穴場スポット!
◾️地図の表示
オランダ最古の門【地獄の門】
Helpoort
ビスコップスモルンから少し移動すると、今度は中世の城壁と門が見えてきます。
オランダで残されてる最も古い城門で、その名を「地獄の門」
- 建築:1229年
来ました❗
— アルト・オランダ (@Artoshack) August 22, 2020
「地獄の門」😱
オランダで残っている最も古い門で、1229年に建てられました🧐 pic.twitter.com/kK6dps3tGe
「地獄の門」という名前には、いくつかの説があるそうです。
門の壁に書かれてある説明では、この名前が付いたのは18世紀頃で、近くにあった鍛冶屋とベーカリーの家「In de Helle」(地獄で) と関係があったようです。
門の中 (上の階) には小さな博物館があり、マーストリヒトの要塞都市に関する資料を展示。
入り口は、門の裏側の脇にある扉からアクセス。
見学は無料ですが小額を寄付します。
◾️オープン時間
イースター (4月)〜10月末頃
13:00 ~ 16:30 (毎日)
◾️地図の表示
地獄の門と城壁はつながっていて、壁の前は市の公園になっています。
この部分は、城塞都市マーストリヒトの第一の城壁。
壁の前には大砲がズラリと!
ファイフ・コッペンの城壁
De Vijf Koppen
城塞都市であったマーストリヒトには、中世の城壁がいくつか残されていて、その中には「ファイフ・コッペン」と呼ばれる部分があります。
ファイフ・コッペンとは「5つの頭」という意味。
この名前の由来は、中世17世紀の時代にスペインとの宗教戦争で、オランダを裏切った主要容疑者5人の首を切断して、この場所に並べたとのこと!
こちらは、ファイフ・コッペンとは別の円筒部分で、「Rondeel Haet ende Nijt」という名前。
城壁の上は通路になっているのですが、ファイフ・コッペンは工事中で通行できなかったので、別の円筒部分に上がってみました。
昔は、このような大砲で敵と戦っていたのでしょう!
◾️地図の表示
Pater Vinktoren
中世のマーストリヒトは、城壁の中にもう一つの城壁が築かれていました。
こちらは、その第二の城壁の一部である塔で、14世紀に建築。
実際には、19世紀の終わり頃には荒れ果てていたそうで、1906年に復元されました。
この塔の名前はスペインとの80年戦争で、1638年に反逆の罪で処刑された司教の名前「Pater Vink」が付けられました。
その司教は、この塔で死刑を待たされていたそうです。
◾️地図の表示
ホーヘ橋からの眺め
Hoge Brug
さて、ひと通り街巡りを終えて駅に向かって戻るのですが、今度は「地獄の門」の近くにある「ホーへ橋」を渡っていきます。
2003年に開通した近代的な橋ですが、マース川を眺める絶景スポットなので紹介しておきますね!
橋の上からは、聖セルファース橋の全体像がよく見えます。
写真では、ちょっと遠いですが...
聖セルファース橋と同じように、歩行者と自転車の専用橋となっています。
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マース川沿いにある2つの記念碑
ホーへ橋を渡って駅に向かう川沿いの通りには、城塞都市の一部であった塔と水門が残されています。
Maaspunttoren
この塔が建てられた時期は明確ではないですが、14世紀頃のようです。
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Waterpoortje
先ほどの Maaspunttoren から、200メートルほど離れた所にあるのが、13世紀ころに建てられた水門。
船の荷物の積み下ろしに、19世紀中ごろまで使われていたそうです。
◾️地図の表示
以上で、マーストリヒトの1日街巡りを終え、駅に向かって戻ります。
これまでお伝えしてきたスポットは、地図にまとめてありますので参考にしてください。
紹介したスポットの地図
おわりに
マーストリヒト駅を出発して、旧市街地をひと回りするようにお伝えしてきました。
マース川の風景に加えて、歴史の深い建造物もたくさん見られる、オランダ最南端の美しい都市。
数多くの見どころがあるので、はじめてマーストリヒトに訪れる際には、参考にしてみてください。
そして、ぜひ「フラーイ」も食べてみましょう!