ホールン【HOORN】は17〜18世紀の頃、オランダ東インド会社の拠点となった港町の一つ。
今でも古い街並みが残り、東インド会社に関連する建物や、たくさんの記念碑が見られます。
記事の前半では街中を中心に、後半では港での見所についてお伝えしていきます。
※2023年2月8日 更新
1.パックハウス【VOC Pakhuizen】
まず最初に VOC に関する建物から!
運河に面した切妻屋根の建物は、VOC の倉庫として使われていて、スパイスや穀物などを保管していた場所。
右側の倉庫は1606年に、左側は1646年に建てられたもので、共に20世紀になって修復されました。
建物の正面に来ると、東インド会社 (V.O.COMPAGNIE) の彫刻が見られますよ!
オランダ東インド会社は、このような帆船でインドネシアを拠点に、アジアから香辛料などを貿易していました。
こちらは、ホールンの Vlog 動画です。
2.東インドの家【Het Oost-Indische Huis】
倉庫から100mほど離れたところにあるのは、東インド会社の事務所として使用されていた建物。
こちらも綺麗に修復されており、現在はスタジオスペースと民家に使われています。
屋根の彫刻には、4人の天使が VOC のロゴ (モノグラム) を持っている姿が見られます!
3.街の通りにも【VOC】モノグラム
ショッピング街の通り (Grote Noord) にも、大きな VOC モノグラム。
うっかりすると見過ごしてしまうので注視を!
モノグラムの周りには胡椒やコーヒーなど、取引していた品物が黒いプレートに8つ描かれています。
4.スターテンログメント【Statenlogement】
「東インドの家」からほんの50mほど離れた場所にある記念碑のひとつ。
1613年にルネッサンス様式で建てられ、宿舎や市庁舎としても機能していました。
5.バターホール【De Boterhal】
この美しい記念碑は、1563年に初期ルネッサンス様式で建てられた病院で、1841年までその機能を果たし、それ以降は倉庫などに使用されました。
ファザードの中心部には、病院であったという彫刻が見られます。
「バターホール」という名前は、1925年からバターとチーズの倉庫として機能していたことが理由。
現在は、アートなどの展示スペースとして使用しています。
6.ローデステーン広場【Roode Steen】
ホールンの中心部であるローデステーン広場。
この広場周辺には、ウエストフリース博物館やワーグ (計量所) などが立ち並び、博物館側の道はホールンで最も古い通りの一部分でもあります。
夏にチーズマーケットが開催されるのもこの広場。
【Jan Pieterszoon Coen】
ローデステーン広場の中に立てられある彫像は、ホールンで生まれた第4代オランダ東インド会社の総督「ヤン・ピーテルスゾーン・クーン」。
7.ワーグ【De Waag】
ローデステーン広場に面したこの建造物は、1609年に建てられた計量所。
【ワーグ (Waag) とは天秤・計量を意味します。】
第二次世界大戦前までは、チーズ市場におけるチーズの計量に使われていました。
1953年からはレストランとして使われています。
店内には大きな天秤が吊り下げられてあり、今でもチーズマーケットのイベントがある時には、建物の一部を使って計量の様子を再現してくれます。
建物のファザード中央部には、ホールンの紋章を持つユニコーンの彫刻が飾られてあるのでお見逃しなく!
8.夏に開催!ホールンのチーズマーケット
ローデステーン広場では、夏になると毎週木曜日のお昼過ぎにチーズマーケットが開催。
- 開催日程:6月中旬 (第25週) 〜8月中旬 (第35週) の毎週木曜日 (第32週を除く)
- 開催時間:13:45 ~ 15:45
ホールンのチーズマーケットは、アルクマールやゴーダほど大規模ではありません。
しかしながら、音楽や民族衣装を着てのダンスショーなどの、パフォーマンスを披露して楽しませてくれます。
そして、チーズの試食も楽しみですよ😋
広場にはチーズを運ぶ馬車も登場!
ワーグの正反対にある建物の壁には、チーズを運ぶ彫刻が見られます!
9.ウエストフリース博物館【Westfries Museum】
ホールンでは、見逃すことのできないミュージアムのひとつ!
16〜19世紀における、オランダ・西フリースランド地方の歴史的なコレクションを展示している博物館。
建物 (左側) は1632年に、オランダ・ルネッサンス様式で建築された記念碑でもあります。
何より素晴らしい装飾のファザードが特徴!
博物館には、VOC 東インド会社に関する資料も含め、3万点以上のコレクションを所蔵しています。
その中には、日本語で記されたコレクションも展示!
実はこの博物館は2005年に、24枚の絵画と約70個の銀が盗まるという事件が起こりました。
博物館には小さいながらも、綺麗な中庭がありますよ。
ウエストフリスミュージアム詳細
◼️入場料
大人 €10ユーロ / 18歳未満 無料
ミュージアムカード対応 無料
◼️営業時間
火~日曜日 11:00 ~ 17:00
◼️ウエブサイト:wfm.nl
※2023年1月1日より、改修工事のため数年間にわたって閉館となります。
10.オースターポート【Oosterpoort】
かつてホールンには4つの城門があり、唯一存在しているのがこの東門 (オースターポート)。
この城門は1578年に完成し、1601年になると門の上に家が増築されました。
城門は防御のためというより、ホールンの街へ出入りする人の管理を目的としていました。
この門は通行できるので、綺麗な内壁も見所です!
11.ボスハウス【Bossuhuizen】
ボスの家と呼ばれる、これら3つの建物は17世紀に建築。
建物のファザードには、図解した絵と詩が描かれています。
これは、海 (現在のホールン沖合の湖) での80年戦争におけるもので、1573年にボス提督が率いるスペイン軍と、ネーデルランド共和国の艦隊との戦いを表したもの。
最終的にはスペイン軍は敗北し、ボス提督は3年間ホールンで拘束されました。
12.マリア塔【 Mariatoren】
街の外側を流れる運河沿いにポツンとあるのは、1508年に後期ゴシック様式で建てられた半楕円の防衛タワー。
実はこの歴史的建造物の中は、宿泊施設に改装されて2人まで利用できるのです。ホテルと言うよりはレンタルハウス。
1泊の宿泊料金は、2人で €220ユーロ。オランダ語だけですがウエブサイトはこちらから!
13.走る博物館!蒸気機関車でミニ旅行
ホールンの駅にある、レトロな蒸気機関車の博物館。
「博物館」という名前ですが、実際には100年以上前の汽車が乗客を乗せて、メデムブリックまでの区間を走るのです。
詳しくは、こちらの記事でお伝えしています!
参考記事 オランダの走る博物館!小さな蒸気機関車でレトロな旅を体験
【ここから先は、港にある見所をお伝えしていきます。】
14.港のメインタワー【Hoofdtoren】
街の中心部を抜けて港へ行くと、ウォーターフロントにあるメインタワーがすぐに目につきます。
1532年に後期ゴシック様式で建てられた、半楕円形の防衛塔。
正面と街寄りはレンガ造りで、湖の方は天然石で覆われています。
こちらのタワーはレストランになっているので、2階席から食事をしながら街や港を眺めるのもいいですよ!
天気のよい暖かい日なら、外のテラスも利用可能です。
メインタワーの向かい側には、切妻屋根の建物が綺麗に立ち並んでいるのも、お見逃しなく!
これらの建物は17世紀のもので、国の記念碑にもなっています。
15.【ボンテク船長のキャビンボーイ】
メインタワーのすぐ側にあるのは、『ボンテク船長のキャビンボーイ』のモニュメント。
この3人のキャビンボーイは、ボンテク船長と共にVOCの船で航海した少年達。
ボンテク船長 (Bontekoe) とは、1587年にホールンで生まれた船乗りで、商人でもありました。1618〜1625年の間には VOC の船長として航行を担当。
航海では激しい嵐に巻き込まれたり、船員の壊血病や引火した火薬が爆発、奴隷になったりなど、まさに冒険のような出来事が起こりました。
日本には知られていませんが、オランダでは『ボンテク船長のキャビンボーイ』は書籍にもなっていて、2007年には映画にもなりました。
こちらの動画は予告編です。(オランダ語)
埠頭の先へ行くと、ボンテク船長のモニュメントがあります。
16."20世紀博物館"【Museum van de 20 eeuw】
こちらの博物館は、興味深い人が多いかもしれません!
20世紀 (1900〜1980年) における、生活の移り変わりを展示している博物館。
展示物は各年代ごとの部屋の様子や、生活用品、家電、おもちゃなど何百にも及ぶ昔のコレクションが見られます。
ミドルからシニア世代の人なら必見ですね。レトロな日本メーカーも目にすることでしょう!
博物館は小さな島の中にあり、建物はかつての刑務所でした。
また、建物の一部はホテルにも利用されていて、その名もまさに「刑務所ホテル」(gevangenis hotel)。
20世紀博物館の詳細
◼️入場料
大人 10ユーロ / 4~16歳 5ユーロ
ミュージアムカード対応 無料
◼️営業時間
月~金曜日 10:00 ~ 17:00
土・日曜日・祝日 12:00 ~ 17:00
◼️ウエブサイト:www.museumhoorn.nl
17.港の大砲
20世紀博物館のある島の先には、2つの大砲が置かれてあります。
中世の時代にはこのようにして、敵艦隊へ向けて砲撃していたのでしょう!
18.街のサインボードに注目!
意外と気付かないものですが、サインボードの上にあるユニコーンも見所。
このように街の至るところに、ユニコーンが見つけられるでしょう!
☆東インド会社の船【Halve Maen】☆
最後にお伝えするのが、VOC 東インド会社の船 ハルフマーン (Halve Maen)
1609年に、イギリスの船長「ヘンリー・ハドソン」によって、北アメリカへ航海した歴史があります。
この船は1989年に造られたレプリカですが、2015年からホールンに停泊していました。
残念ながら、2020年3月21日の貸し出し契約期限をもって、オーナーの元に返還され、ホールンの見所ではなくなってしまいました。
それからはフォーレンダム (Volendam) の港に停泊しており、ミュージアムとして一般公開しています。
◼️ウエブサイト:halvemaen.nl
ホールンへの行き方
最寄り駅:ホールン (Hoorn)
- アムステルダムからインターシティ (Intercity) の列車で32分
- 30分毎に運行
- 駅からローデ・ステーン広場まで歩いて約10分、港までは約15分
おわりに
ホールンは大きな街ではないですが、見所はたくさんあります。
最後にまとめると、
- ホールンは、東インド会社との関連が深い街
- 建築物やモニュメントなどの記念碑がたくさん
- チーズマーケットや蒸気機関車での旅などが楽しめる
東インド会社の歴史に興味があるのでしたら、是非とも訪れておきたい街ですよ!